47:進む世界を眺めて
魔神王目線の話
ただ広いだけの広間。
入口からここまでレッドカーペットが敷かれており、奥には人一人が座れる玉座がある。
壁には装飾が施され、貴族が使うような調度品がいくつも置いてある。
ここは魔神王の部屋。
部屋の中心に黒い液状の物体が出現し、そこから魔神王が出てくる。
部屋に来た魔神王はすぐさま玉座の方へ歩みを進め、たどり着いたら玉座に腰を掛ける。
ふかふかで座り心地は良さそうだ。
「さて、未来の世界でも見てみようかな」
そう言うと、黒い物体を近場に出してそこから人の顔ほどはある水晶玉を取り出す。
それに何かを呟き、手をかざす。
すると水晶玉に何処かの風景が映し出された。
◇
最初に映し出されたのは多対一の魔王戦争が始まろうとしている所。
しかし、一の方はすでに満身創痍で戦える状態では無さそうだ。
何があったのか知る術はその日がくるのを待つしかない。
そしてすぐにこの風景がぼやけ始め、次の風景が映し出される。
◇
今度は件の人間が召喚した魔王と他の魔王が戦争をしている最中の風景。
どうやらこれも多対一で行ってるらしく、植物型の魔物、山羊型の魔物、武器を持った少女型の魔物達が協力して戦っている。
この風景も次第にぼやけ始め、また別の風景が映し出される。
◇
今度はこの部屋よりも広い部屋が映し出される。
そこには巨大な円卓があり、それを囲むようにしてきらびやかな衣服を来た人物達が椅子に座り、何か話し合っている。
音は聞こえないので何を話しているかは分からないし、その日が来ても知ることはないだろう。
また同じように風景がぼやけ始めて、次の風景に進む。
◇
映し出されたのは何処か建物内の瓦礫の山の上で眠る怪物の姿。
魔王の誰かのダンジョンというわけでは無さそうだ。
その怪物は獣にしては異形で、竜にしては異端な姿をしていた。
どうやらこの風景が最後らしく、水晶玉に何も映らなくなった。
◇
それらを見終わった魔神王は水晶玉を黒い物体に戻して立ち上がる。
その表情は嬉しそうにも残念そうにも見える表情だった。