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34:女戦士の伝言

 魔王戦争を申し込まれた翌日。

 俺はストレスと不安によるものなのかは知らないが腹痛に悩まされていた。

 しかし、そんな事情を知らぬ冒険者達がダンジョンに侵入してくる。

 そいつらの対処はデモンとアラクネに丸投げした。

 けっして楽がしたいとかではなく、ちゃんとした理由もあるのだ。


 俺は扉を開く。

 そこは簡易的な客室みたいなものだ。

 机とそれを挟むように椅子が二つ。

 座って話せればいいので特に飾り等もない。

 強いて言えばこの部屋を照らす壁掛け蝋燭がある位だ。


 さて、この部屋。

 俺以外にもう一人いる。

 彼女は奥側の椅子に腰掛けていた。


 「遅かったな。ほら、さっさと座りな。私が許可する」

 「いや、椅子もこの部屋も俺が用意したんだけど」


 女戦士だ。名前はまだ知らない。

 彼女は昨日、ダンジョンの入口で交戦し、途中で乱入してきたクーリによってゴーレムもろとも気絶させられた。

 で、クーリ達が帰っても起きなかったのでこの部屋を造って放り込んどいたのだ。


 「まずは名乗っておこう。私はレッシェ。冒険者をやっている」

 「ふーん」

 「その反応はないだろ……。まぁいい魔王、お前の名前は?」

 「……教えねぇよ?」


 本名を教えないのは念の為だ。

 正直な所、レッシェの心境が読み取れない。

 敵意が無いのは分かるが何を企んでいるかは検討がつかないので、なるべくこちらの情報は教えたくない。

 

 「はぁ? 別にいいけどさ」

 「あ、いいのね」


 軽く流された。

 詮索されても困るが、こうもあっさりと流されても来るものがある。


 「では、お前に伝えたい事を言っておく。ちゃんと聞けよ?」

 「じゃあちゃんと言えよ?」


 レッシェの右手がこっちに来そうだったが、すぐに手を下ろした。


 「サイルマード王国の国王がお前のような異世界を知る者、つまりお前のような奴を探している。来い」

 「あー、ここからだとどれくらいかかる?」

 「……休みとか含めて大体一日位だと思う」


 今からだと帰って来たときには魔王戦争が始まってそうだ。

 しかし、異世界者を探す人というのも気になるので、魔王戦争が終わったら向かおう。

 それも生き残れたらの話だが。


 「分かった。やることが終わってから向かうわ」

 「……やることって私を突き飛ばした奴等と関係はあるか?」


 レッシェは妙に勘が鋭い。

 昨日も俺の目的を言っただけで、日本という単語が出てきたし。

 

 「私も協力しようか? 国王からは異世界人に手を貸せ言われてるからな」

 「マジ!? それは助かるわ!」


 思いもしなかった所から援軍が来た。

 自分の中に少し希望が沸いた気がして、腹痛の事などとっくに忘れていた。

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