31:俺の目的
「魔王、あんただっさい服着てるよな。何だその黒い白衣に変な虫の模様があるだっさいのは。魔王ならマントとか羽織れよ!」
「はぁ、さっきも言ったよな。お前の理想を押し付けるなって。これだから話を聞かない馬鹿は……」
動くに動けない俺達は低レベルな煽り合いを繰り広げる。
一応言っておくが、両者は小学生なんかでは無い。
高校生の魔王と大人の女戦士だ。
「ねぇねぇ、モミジ。私のリンプンを使えばあんなやつ楽勝だよ? やらないのー?」
「うん。アイツに聞きたい事もあるからな。それに目の前で死なれたら嫌だし。絶対にやるなよ?」
「ちぇー」
デモンは自由に動けなくて退屈そうにする。
正直な話、俺もただ待ってるだけなのは飽きてきた。
何か妙案はないものか……
「なぁー、お前。何かいい提案ない?」
「それ私に聞くのか……まぁあるんだがな!」
女戦士はゴーレムに右手を当てる。
ゴーレムは溶け始め、液状となって女戦士の前に崩れ落ちる。
その液体に左手を当てると今度は人の姿になった。
さっきのと違うのは3メートルはありそうな巨体をぴったり3分割にしたような大きさになっている事。
それが3体。
この迷路にも余裕で入れる大きさだ。
入ってくるということは俺達はもっと奥に逃げないといけない。
「というわけで俺達は逃げさせてもらおう。俺と戦いたかったら迷路を攻略してみるがいい。」
「いや待て待て。攻撃をするのは一つ質問してからだ」
女戦士は俺達を呼び止める。
別に答える必要もないのだが、俺はその質問が気になって立ち止まって振り返った。
「何だ? 騙し討ちとかマジでやめろよ? 洒落にならんからな」
「私がそんな卑怯な手を使うはずがないだろう。お前とは違う。私が聞きたい事は一つ。魔王、お前の目的は何なのだ?」
何か俺が卑怯者みたいに扱われてるのが癪だが、質問は考えさせられる物だった。
俺の目的……元の世界に戻る事だろうか。
いや、生き残るのもそうだし、デモンやアラクネと共に魔王生活を楽しむのも目的の一つである。
どれを答えようか……
「魔王、早くしろ! ゴーレムに進撃させるぞ!」
「答えるから止めろ! 目的は元の世界に戻る事だから!」
急かされて咄嗟に答えてしまった。
答えを聞いた女戦士は少し悩んだ後、もう一つ質問を投げ掛けて来た。
「魔王、【日本】という地名に心当たりはあるか?」
「え、知ってんの!?」
「その反応は何かあるな」
女戦士はニヤリと微笑む。
◇
「これが新たな魔王のダンジョンか?」
「そうだな。彼等は同盟なんぞ組んで調子に乗っている。僕達が灸を据えてやろう」
「さ、3体1は卑怯じゃない……?」
「うるさい、黙ってろ。それともあれか? 僕に逆らうつもりなのか?」
「わ、分かったよぉ」
この三人は一体何者なのか?




