30:調子に乗るとこうなる
さーて、困った事になったぞ。
あの巨体は変わった素材のゴーレムと見ていいと思う。
体が液体があの巨体を作ったはずだが、その体はゼリー状のブヨブヨとした質感ではなく、明らかに金属の質感をしている。
「デモン、毒爆弾をもう一発投げてくれ」
「りょーかい!」
ゴーレムに毒は効くのか試す為にデモンに指示を出す。
デモンは両手で毒爆弾を生成、ゴーレムに投げつける。
毒爆弾が当たって中の毒をゴーレムに浴びせれたものの、ゴーレムに苦しむ様子はない。
「残念だったな、卑怯魔王。ゴーレムに毒は効かないだろ」
女戦士は毒が効いてきて動けなくなったのか、倒れたまま顔だけこちらに向けて偉そうに何か言ってくる。
あの姿勢なのが余計に腹立つ。
「お前も動けねぇだろ! そのままゴーレムに踏み潰されちまえ! 自滅しろ!」
「そんなダサい事するか! ゴーレム、あの妖精をはたき落とせ!」
ゴーレムは指示通りにデモンをはたき落とそうとしてきた。
「おっ、危ないぞ!」
デモンはそれを容易く回避し、こちらに戻ってくる。
ゴーレムが叩きつけた壁の一部が崩れ、外の景色が見える。
「一旦退くぞ! 狭い迷路ならまだ俺達の方が有利だ」
あの巨体だ。
狭い迷路なら機動力のあるこちらの方が有利だと判断し、三人で迷路に逃げ込む。
「ふぅ、とりあえず避難成功ですね」
アラクネは一息つきながら俺に巻き付けてた糸をほどく。
さて、ここからどうしようか。
相手は得意技の毒が効かないゴーレムときた。
搦め手が効かない、一番恐れていた相手だ。
「あいつら、何にも動いてないね」
「そうなのか?」
デモンは壁からこっそり女戦士達の様子を見ていた。
多分ゴーレムが動いてないのは動けない女戦士が自衛の為に下手に手は出さなくていいという考えだろう。
かといってこちらからも手が出せない。
互いに硬直状態だ。
「モミジさん。どうします?」
「……はっきり言ってお手上げだ。都合よくゴーレムをこちらに渡して帰ってくれないかね?」
「んー、無理だと思いますよ?」
ばっさり切られた。
一応、アラクネの蜘蛛の糸を使ってどうにかするのも考えてみたが、ゴーレムの怪力に通用しなさそうなので却下。
「魔王! 逃げ隠れするな! 正々堂々戦え!」
「何だとー! あんたもゴーレムを使って卑怯だぞ!」
「妖精、あんたには話してない!」
「うるさーい! 毒爆弾を食らわせてやる!」
幼稚な女戦士はついにデモンとまで口喧嘩を始めた。
女戦士達の方で毒爆弾が爆発する音がしたが、多分ゴーレムに弾かれたと見ていい。
「デモン、あんな馬鹿と争ってたらお前も馬鹿になるぞ?」
「そうなのか? 私はそんなの嫌だから止めるぞ!」
「おい魔王、誰が馬鹿だ!」
いくらアイツが馬鹿とは言え、今の状況を打開する術が無いのも事実なんだよなぁ。
ご都合展開で援軍とか来てくれないかな。