23:猛毒妖精の少女
さて、ダンジョンを攻略される様子を見ていて、思った事がある。
侵入者達は罠にはしっかりと引っ掛かってくれているので位置を改善する必要は無いと思う。
だが、罠に引っ掛かったからといって撃退できる訳ではない。
要するに罠に引っ掛けて、それから? という具合だ。
「モミジー! そろそろあいつらがクリスタルの部屋に着くぞ! 流石にもう行って良いよな?」
確かにデモンの実力も確かめてみたい。
よし、本人もこんなに行きたがってるし、そろそろ出撃させてやろう。
「分かった、もう行っていいぞ。倒すのが無理だと思ったらすぐに逃げろよ?」
「大丈夫! 私はそう簡単に負けないから!」
デモンはこの部屋から飛び立ち、迷路の中へと入っていった。
飛んでるし、罠にはまることは無いと思うが迷わず侵入者の元へたどり着けるかがちょっと心配だ。
◇
「アンヘル、痺れはどうだ?」
「あぁ、だいぶ良くなってきた。もう普通に動けるぜ」
「よぉし、じゃあそろそろ行くか?」
休んでいた三人は持ってきた干し肉を食べながら毒の具合を確かめる。
どうやら毒を直に浴びたアンヘルの痺れは治まったようだ。
「こっちはいつでもいいぜ。決めるのはアンヘルだな」
「俺も準備は出来たぜ」
「私もだー!」
幼き少女の返事。
いや、何でそんなのがここで聞こえるんだ!?
三人は声が聞こえた方を向く。
そこには黒い蝶の羽を背中に生やした少女が、胸を張りながら立っていた。
「へへーん、私が来たからにはお前達はもうおしまいだぞ!」
こちらに指を指しながら正義のヒーローが言いそうな台詞を言う。
「こいつ魔物か?」
「多分妖精の類いだろ。魔物で合ってると思うぞ」
「だとしてもこんな少女をよってたかって攻撃するのも気が引けないか?」
三人はデモンをどうするか話し合う。
「こらー! 無視するなー!」
自分を無視されて怒ったデモンは右手を天に挙げる。
その右手に上を飛んでいた蛾の群れが集まって来た。
「おい、何かしてるぞ! 構えとけ!」
「二人共! 俺の盾の後ににいろ!」
三人はいつものフォーメーションを陣取ってデモンの様子を見る。
デモンの右手に集まった蛾は段々と紫色を帯びていく。
そして……
「いっけー! あいつらをぶっ倒せ!」
手を三人の方へ向けると同時に紫色になった蛾達が次々に飛び立っていく。
「ウイード、魔法を使え!」
「詠唱:炎術!」
アンヘルの大盾の陰からイギーは弓矢をデモンに向けて。
ウイードは炎術を飛んで来る蛾の群れに放った。
しかしどちらも哀しい程、効果が無かった。
まず放たれた矢は蛾の群れに阻まれ、落とされてしまった。
炎術は蛾の群れに直撃し、何匹かが焼けて死んだが焼け石に水。
残った蛾の群れが三人に襲い掛かる。
「おい、逃げるぞ! 盾なんてすり抜けられて意味が無い!」
アンヘルのこの判断は英断だったと言っていいだろう。
これのお陰で三人が生きていたと言っても過言ではない。




