13:暗き洞にて嘲笑う者
「ケケケ、獲物がたくさんだ」
チビネコレディ軍団が相手のダンジョンに突入して最初に目にしたのは深い闇。
耳には不気味な声が聞こえてくる。
どこだ。
どこに潜んでいる。
チビネコレディ達は暗闇の見えにくい中で敵を探す。
すると一人のチビネコレディの背のすぐ近くで何かが空を切る音が聞こえる。
すぐに後ろを確認するが、一瞬残像が見えただけだった。
「ギニャア!」
誰かが攻撃された。
しかしここは暗闇。
攻撃された方向位しか分からない。
なるべく襲われないように固まって行動を始める。
◇
何かがこっちに来ている。
ドラゴン達の吐く火炎をかわしている時。
炎の音に紛れて、機械の駆動音のような音が聞こえる。
ていうか自分のダンジョンの方角から何か来てる。
黒くて箱みたいで窓から見える内部にカイトと数人のチビネコレディの姿が見える。
カイトが乗る何かは燃え盛る大地の前で止まり、中からカイト達が銃を手に降りる。
そして空を飛ぶドラゴン達に銃弾を浴びせる。
それで取り巻きのワイバーン達は次々と撃ち抜かれ、地面に落ちてくる。
しかしカイトの襲来にいち早く気付いたドラゴンは攻撃を切り上げ、残党のワイバーンと共にこちらのダンジョンへと向かっていく。
「エリー、急ぐぞ! アイツがこっちのクリスタルを砕く前に、相手のクリスタルを砕く!」
「りょーかい! 走るわよっ!」
こちらの攻撃部隊は私とカイト、それとチビネコ軍団。
相手はドラゴンと少数のワイバーン。
頭数だけならこちらが多い。
だが、相手にはさっきのドラゴンクラス、もしかするとそれよりも強い魔物がいるかもしれない。
先にダンジョンに突入したチビネコレディ達は大丈夫だろうか。
◇
まずい、じわじわと消耗させられている。
固まって敵の攻撃に備えていたのだが、それでもほんの少しの隙を付いて一人、また一人とやられていく。
襲ってきた瞬間に拳銃を発砲しても全くといっていいほど当たらない。
「オラオラ、どんどんいくゼェ?」
こうしている間にもまた一人。
今確認出来る残りの人数は5人。
突入時の半数にまで減らされた。
「ねぇ、今からでも逃げた方がいいんじゃない?」
誰かが小声で呟く。
確かにそうだ。
エリー様の援護をして、交戦しているドラゴンを倒し、エリー様と共に行動した方が良いかも知れない。
しかしだ。
逃げられるのか?
アイツが見逃してくれたりするか?
「とりあえず固まったまま後ろに下がろう」
チビネコレディ達は陣形を崩さず、そして辺りを警戒しながら一歩ずつ後ろへ下がる。
二、三歩目辺りで入口から足音がする。
それと同時に何かが地面に落ちた。
その瞬間、目が眩む程のまばゆい光がこの部屋を包み込む。
「ウギャッ、眩しい!」
これのお陰で敵の姿が目視できた。
その姿は巨大なヘビで胴体に何が入ってるのかと思う程膨らんでいた。