1:何処だよここ
何か肌寒い。
それに地面が固い。
あぁ、寝相が悪くてベットから落ちたのかな?
そう思い、目を開ける。
目に写ったのは灰色の天井。灰色の壁。灰色の床。
全てが無機質な石造り。
夢か何かだと思い、一回目をこすってからもう一度見てみる。
灰色の天井、壁、床。
何も変わらない。
自分の体を触ってみる。
寝てた時はパジャマを着ていたはずだったが、今はボロボロの肌触りの悪い服とズボンを着ていた。
何処だここ?
俺はベットでぐっすり寝ていたはずだ。
寝相が悪くても起きたら知らん場所にいるなんて事にはならんやろ。
とりあえず灰色の石造りの部屋の中で一つだけ浮いている茶色のドア。多分木製だろう。
他に出口とかも無さそうだし開けてみるか。
俺はドアノブに手を取り、引く。
開かない。
ならば押す。
問題なく開いた。
ドアの先にはここと同じような部屋があった。
違う所はいかにも調べて下さいとばかりに浮いてる革表紙の本。
それは俺を挑発するように回転を始めた。
腹立つな。
こいつは後回しだ。
二つ目の部屋も隅々まで見回してみる。
さっき入ってきた扉と腹立つ本以外には何も無さそうだ。
仕方ない。
本を読んでみよう。
本に手を伸ばしたら急に大人しくなり、俺に掴まれた。
この本は思ってたより薄かった。
恐らく十ページにも満たない。
では早速背表紙をめくっていく。
一ページ目には『ごきげんよう、新たな魔王モミジ。あなたはこれから魔王とし自分の身を守るダンジョンを創造して』と書かれているだけ。
下半分は空白。
ちゃんとバランス考えろよ! というツッコミを入れたいが、そんなもんはどうでもいい。
魔王って何だよ。
何で俺がそんなのやらんといかんのだ。
心の中で愚痴っても本は特に変化をみせない。
口に出してもかわんねぇなと思い、仕方なく次のページをめくってみた。
ステータス
名前:モミジ
二つ名:病毒を振り撒く高校生
Uスキル:病散布 毒纏い
DP:1000
左の二ページ目。
そこにはゲームとかでよくあるステータスが書いてあった。
俺のはいかにも性格の悪そうな二つ名やスキルだ。
実際、俺の性格は良くはない。
対戦ゲーム等でも害悪戦法で戦う方が好きな程には。
自分に合ってはいるっちゃいるな。
右の三ページ目からは魔王とは何をするのかのチュートリアルが始まるようだ。
最初は眷属の召喚をしてみようとある。
……欲を言えばかわいい子が欲しいな。