キタコレ!
謁見の間に通じる秘密通路を知っている者は少ない。リリアナがこの通路を知ったのも偶然だった。
だれにも見られぬように秘密通路の入り口から入り、謁見の間へ急ぐ。
「此度は友好のあかしとして結構な物をいただき、礼をいたす。タタラニア国王も健勝のようで何より」
スマリ国王、つまりリリアナの父が使者に言葉をかけているところだった。
良かった、間に合ったな。
リリアナは息を整えてのぞき穴からタタラニア王国の使者を見た。
へえ、若いのねえ。まだ20代そこそこだわ。有能なのか、スマリ王国が下に見られているのか・・。
まあでも自国の王子の嫁取りなら国益に係るし、有能なのかな。
「スマリ国王におかれましても」
使者が話の雰囲気からも「有能」のジャッジを下して間違いなさそうだ。
長い口上を聞きながら使者を観察する。5名いる使者は皆若い。すごいな、タタラニア王国。なかなか若者に責任移譲することはできることではない。リリアナは自国の大臣たちと見比べてため息が出た。
「して、用向きは?」
ようやくスマリ国王が使者に聞いた。
「リリアナ姫を我が国第二王子ナルセフ王子の妃として貰い受けたく」
キタコレ!
*********************************************************************
その後。
「どうしてリリアナなのです。納得いきません」
第二王女のカタリナが国王にかみついた。
「タタラニア王国の第二王子は15。年回りで言ったらソフーナが、順当に考えればわたくしが選ばれるのが筋ではありませんか」
カタリナは気が強く、自分に自信があるため、選ばれないことなど考えもしない。
こういう時には嵐が過ぎるのをじっと待つだけ、とリリアナは気配を消して小さくなった。
「しかし先方がリリアナを指名してきたのだ。他の姫と替えてくださいとは言えぬ」
国王は娘に弱く、若干おどおどと反論するのが情けない。
「もう決まったことなのだ。変更はできぬ。カタリナにはまた良い縁があるだろう。ここは収めてくれ」
第一王子の長兄レイモンドが治めた。お前たちは下がりなさい。カタリナとソフーナをさがらせる。
「さて、リリアナ」レイモンドが腕を組んでリリアナを見た。
「どういうことか、説明してもらおうか」




