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第5話「疫病神」

ピンポーン。

「すいませーん。」

アパートの壁に取り付けられた、古臭いインターホンに向かって俺は話し掛ける。

「誰だ?」

途端にぶしつけな声がインターホンより響いてくる。

「あぁ、アレス。俺だ、ヤマトだ。」

「なんだ、白寿か。」

「聞こえてるぞ、バカ野郎!」

まったくもって失礼なやつだ。こんな低レベルな会話しかできないくせにIQ157とかいうんだから笑える。

このアレスも些端羅団の一員であり、いつも事務所の方ではなく、このボロいアパートで生活している。イシカやカズ達はここを「支部」と呼んでいるが、そんな立派なものじゃないことは一目瞭然だ。

アレスは特種な赤目で、近付く人を不幸にする「疫病神」の末裔だ。周囲の人間にはありとあらゆる災厄をもたらす。古来欧州で大流行した「黒死病」もアレスの祖先が人間に接触したためと考えられる。アレスもその「体質」のせいで、大切な人を亡くしてしまった。それからアレスは現実世界を拒否して引き篭るようになった。今は大分フラットに会話できるが、あの頃はとても手のつけられない、死体の様な在り様だった。大変だったな、世話とか。

「おい、白寿。ドアの鍵開いてるから入ってこい。」

相変わらず、可笑しなやつだ。

部屋に入った途端、障気ともいうべき独特の雰囲気が身に絡み付く。やっぱり慣れないな、この感じ。

「鍵の開けっぱなしは駄目だと言ったよな?」

PCの前に鎮座しているアレスに向かって、恒例の文句を述べる。

「いいだろ、別に。それより何しに来た?」

「お前の様子を見に来たのと、ちょっと頼みたいことがあってな。」

「あ、そう。何?」

「素っ気無いなぁ。メール送ったから大体の事情は理解してるだろ。」

「そうだけど。なんか襲われたらしいね。御愁傷様。」

「他人事みたくいうな!まぁ、それでこれに接触した人間を探してくれないか?」

俺が取り出したのは「例の」紙切れだった。

「これか。疲れるから、出来るだけ能力は使いたくないんだけどなぁ。でもイシカ直々の指示っぽいし、頑張ってみるか。」

「あ、些端羅のやつらは無視してくれよ?」

「了解。」

途端、アレスの目が紅く輝きはじめた。

アレスには物や人に接触した人物の詳しい情報を「採取」する能力を持っている。当然、犯人も紙切れに接触しているはずなので、アレスならすぐに犯人の手掛かりを特定できるはずだ。

でも、さっきからアレスの顔が険しい。一体どうしたんだ?

「くそっ!妨害工作が仕掛けられてる。」

「え!能力かよ・・・でもアレスならいけるだろ?」

「いや、これは純血・・・イシカぐらいの能力者がかけた負の能力だ。俺みたいな疫病神じゃとても解除できない。」

「嘘だろ?で、でもアレスの能力をフルに使えば・・・。」

「無理だね。どう足掻いても、接触禁止だ。」

「じゃあ能力者ってことは、赤目なんだろ?」

「でも負の能力を使えるのは些端羅じゃ俺ぐらいだし。つまり・・・。」

「俺達以外にも赤目は存在している。」

「それが最も可能性が高い。」

俺は思考することができなかった。だって俺達の祖先である、あの気付いた者達以外、あの日から生き残った赤目はいないはずだ。

「おい、ヤマト。この紙切れ、しばらく預かっていいか?」

「あ、あぁ。」

「じゃあ、お前はすぐに事務所に戻ってこの事をイシカに伝えろ。いいな?」

「わかった。でもアレスはどうするんだ?」

「俺は俺で動く。死ぬなよ、白寿。」

「アレスこそ!」

そういって、俺はアレスの部屋を出た。とりあえず、落ち着かないと。そう思うが、やはり足を速めてしまう。でも他に生き残りがいたなんて。考えれば考えるほど、無限廻廊に吸い込まれていく。それにアレスの動きも気になる。あのバカ、一体何をするのか、とんと見当がつかない。

「困ってるんだね。可笑しいよ。」

不意に声が聞こえた。

下を向いていた俺は顔をあげる。

「だれ・・・。え?」

そこにはいるはずのない人間、俺達の幼馴染みであり、アレスに殺された少女、リークがたっていた。

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