第2話「四面楚歌」
無だった。
ドアを開けた俺の目は、何の人影も捕らえることができなかった。
嘘だろ?ここ見晴らしいいから、あんな短い時間じゃ隠れられるわけないのに。
辺りをよく見るため、一歩外へ出ようとした。ゴスッ!イテ、なんか足に当たった。まさか。恐る恐る、足元を見ると、ありました、ありました。茶色い小包が。
「ヤマト、どうしたの?」
「いや、誰も居ないんだよ。それより、小包あるんだけど。」
「うわ、超ベタな展開じゃん。持ってきてよ。」
よもや、クレアに扱き使われるとは。落ちぶれたなぁ。
とにかく俺はクレアとイシカの下へ、小包を持って行った。
小包は茶色い包装紙を身に纏っているだけで、何も書かれていなかった。
「とりあえず、開けるか。」
「それしかないっしょ。」
「そうだね。」
無意識に心臓が高鳴る。
「じゃあ、開けるぞ。」
「「うん。」」
イシカが包装紙を外した。その中から現れたのは・・・お菓子の箱!?
「へ?なーんだ、期待して損した。」
ほへほへ。何ですか、この展開。
「いや、ちょっと待て。何だか、妙に軽いぞ。」
イシカが首をかしげた。
「おぉー、事件の臭いがする。」
「刑事かよwww」
「おいおい、二人とも、もっと緊張感持てよ。」
「ほーい。」
「へーい。」
我ながら、気の抜ける返事でした。
「じゃあ、改めて……」
お菓子の箱を開けると、そこには一枚の紙切れが入っていた。
「どんだけ、ベタなのよぉ。」
「どーせ、なんか書いてあるんだろ。」
案の定すぎるくらいに、暗号らしきものが書いてあった。
『B+HOE#X?DJ% &J%OI#YDYFUE
解読方法:左上を右下に。
ヒント:王様=&$XJ 』
「ほへ?なんじゃこりゃ。」
「すごい意味不なんだが。」
「私、捨てる。」
「「おい!!」」
という具合に俺達三人は、悪戦苦闘、四苦八苦した。しかし、二時間後には、真っ白な灰になった三人と、一枚の紙切れがぽつんと、机に置かれていた。
「「ただいまぁ!!」」
うわ!ビックリしたぁ・・・
「おー、カズ、ユカリおかぁ……」
「ど、どしたの、イシカ?」
「大丈夫スか、イシカサン?それにクレアとヤマトも・・・何かあったんスか?」
「これだよぉ……」
と、俺は例の紙切れを差し出した。
「何これ?」
「もしかして、暗号スか?」
真っ白な灰は、揃って首をガクガクと縦に振った。
「うわ、これは確かに難易度高いっスね。」
「むぅー、むぅー、んー。」
ほらほら、難しいでそ?もう駄目だな、諦めr
「イシカ、おはぎある?」
「確かあったと思うが・・・悪いがヤマト、見てきてくれ。」
「ほへー。」
あぁ、しんどい。おはぎ取りだなんて。
「あったよぉ~。」
脱力感溢れる声で俺がおはぎを持ってくると、ユカリは脇目も振らずに、おはぎを正確に奪い取った。
ムシャムシャムシャムシャムシャ・・・・・・。しばらく、おはぎを貪る音が部屋中に響き渡った。
ユカリはおはぎを貪り終えると一言。
「名探偵、ユカリ参上。」
途端、俺を含む男性陣及び、クレアまでもが肩を揺らした。
「おいおい、それって、『迷』探偵だろwww」
「イシカ、ノーパソ貸して。」
おぅふ、無視ですか。なんか落ち込むな……
「ほい、名探偵さん。」
イシカの語尾が震えてる。それを聞いてみんながまた、含み笑いを・・・。
「あぁ、やっぱりだ。」
え?
「解けたよ、この暗号。」
へ?へ?へ?
「「「「えぇーーーー!!!!」」」」
「う、嘘だろ?どういうことだ?」
「じゃあ、解読方法をよく見てよ。「左上を右下に」っていうのはこれ。」
と、言ってパソコンのキーを指差した。全く、意味が……。
沈黙。みんなもわかってないみたいだ。
「じゃあ、ヒントとキーを見比べてみなよ。」
さ、さっぱりわかりません!!!
ユカリの推理を要約すると、パソコンのキーの左上の文字を、右下の文字に変えて読めということらしい。全く、まわりくどいことをしやがる。
「で、この方法で暗号をよむと、『これくらいあさめしまえ おまえらにあんしんはない』ってなるんだけど、脅迫なのかな……」
「おい、これってヤバくないか?」
「だ、誰なのよ、一体・・・」
「たちの悪い悪戯で済めば、いいんだが。」
不意に俺は戦慄を覚えた。相手が誰なのか?底知れぬ恐怖が俺を襲う。死にたくない、死にたくない、死にたくない・・・・・・
結局、俺達はそのまま、見えない敵に恐れ、戦きながら一夜を明かした。