プロローグ
明かりもない夜道
一人音楽を聞きながら自転車で駆け抜ける
今日はちょっとバイトが長くなったので結構遅くなってしまったせいかいつもより暗く感じる
まぁ眠気と空腹と疲労が重なって今の俺はいつぶっ倒れてもおかしくない状況だったので気のせいかも知れないが
早く家に帰りたい
そんな事を考えながら走っていると
突然携帯電話が鳴る
うわぁ出たくねぇ
こんな時間に家族から電話来るわけないし友達には電話番号教えてないしなぁ
どうせイタズラかなんかだろうから無視することにした
すると勝手に携帯電話が喋り出す
「私メリー、今あなたの後ろにいるの」
可愛らしい幼い子供の声が聞こえた
「あっそじゃあ俺はお前の前にいるね」
素っ気なく答える
「ちょ…はぁ?!…はぁ??」
むしろ驚かそうとしたむこうが驚いてる
「なにかようですか?俺は今忙しいので」
すると自転車が急に重くなる
「やめてくれませんか?早く家に帰りたいので」
振り返りフリフリの服を着た金髪の子供にそう告げた
「君ねぇ…いきなり電話がなったり後ろに子供が乗ったりしてるんだからもっと驚いたりしたらどう?」
不満げな声で呟く
「ああごめんねわーこわいちょーこわい(棒)」
「いちいちムカつくわねもういいわ死んでください!!」
少女は懐から刃物をとりだし俺の首筋に当てる
「なに?そんなに怖がって欲しいの?めんどくさい子供だなぁ君は」
ちょっとかわいかったので頭をナデナデする
「めんどくて悪かったわね!!」
おもいっきり振りほどかれた
「さてもういいだろ俺早く帰りたいんだ降りてくれないか?」
早く帰って飯食って寝たい
「駄目ねぇ…君は死ななきゃいけないの」
急に真剣な顔になる
「なんで?」
「それが私の仕事だから」
「ふーんじゃあさっさと殺して天国行きたいから」
「君…大丈夫かい?本当に殺すんだよ?」
刃物を振り上げそう脅した
「いいじゃん可愛い女の子に殺されて天国いくって」
なかなか可愛いからな人形みたい
「ダメだこいつ早く何とかしないと…てか可愛いって!///」
なんか呆れたり怒ったり照れたり忙しい娘だなぁ
「じゃあ最後に君は何者だ?」
真剣な口調で問いかけた
「そうねメリーさんかな…」
たぶんそれがすべての答えだと思っただから俺は…
「そうかい」
今から死ぬのだろう
「君は面白い人だね…」
ぐさり
俺の心臓に銀色の物体が突き刺さる
俺の体から血が勢いよく流れ出す
体中に痛みが広がり力が抜けていく
苦しい
自転車は倒れ俺は転げ落ちる
「はい君は死にました」
少女は赤い刃物を片手に不気味に笑っている
彼女の後ろからトラックが突っ込んできた
少女は気づいていない
あ…あの娘が危ない
俺は最後の力で少女を突き飛ばす
「…え?」
少女はものすごく驚いていたようだ
なんか満足した
瞬間トラックにぶち当たる
見事に俺の体は肉片とかした
生々しい血がトラックのガラスにへばりついている
トラックはアクセルをおもいっきり踏み逃げ去っていった
少女は無事のようだ
ひどい人間もいたもんだ
今日、バイト帰りの夜道で俺は死んだ
プロローグ「俺がメリーさんにあった日」