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『カオスノイズ:東京拠点化計画~拠点を東京に移し、自分を殺せる勇者の育成に励むことにしました~』  作者: 猫寿司
第2章:神か悪魔か!? 地獄にあらわれた最強の男

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第11話「畏怖の静寂」

畏怖の静寂


品川浄化ゲートの最下層。

強烈な無影灯に照らされた円形の部屋は、異様な光景に包まれていた。かつては冷徹な「正解」の番人であった問診官たちが、鉄格子の外で一斉に額を床に擦り付け、震えながら平伏している。


「特異点……ヘスティア様が直接手を下された個体……」

「我らが神の……真実……」


彼らがうわごとのように繰り返す言葉が、白い壁に反響しては消えていく。管理AIがユウサクを「特異点」と認定したことで、彼らの論理回路は完全に崇拝へと上書きされていた。


だが、檻の中に拘束されたままのユウサクは、ただひたすらに「業を煮やして」いた。


(……いつまでやってんだよ、これ。話を聞くわけでもないし、かといって拘束を解くわけでもない。ただ並んで拝まれても、こっちは不自由なままなんだけど)


数時間が経過し、一向に事態が進展しないことに我慢の限界が訪れた。


解放の「特異点」


ユウサクは深く溜息をつくと、全身をぐるぐる巻きにしていた磁気拘束具に意識を向けた。


「……もういいや。自分でするから」


ユウサクがそう呟いた瞬間、彼の肉体がわずかに流動した。スライム状の可変細胞を持つ彼にとって、物理的な体積を一時的に縮小させることは造作もない。


する、するする……。


鉄をも締め上げるはずの強力な磁気拘束具が、中身を失ったかのように床へと滑り落ちた。カチャカチャと乾いた音を立てて積み重なる金属の山。ユウサクは再び元の体格に戻ると、檻の隅に置かれたままだった自分の服を整え、何事もなかったかのように立ち上がった。


「――っ!?」


その様子を見ていた問診官の一人が、息を呑む音を立てた。

彼らにとって、その拘束具は「管理」そのものの象徴。それが神格化された存在の前では、ただの玩具のように無力化されたのだ。


「ああ……拘束具が、意味をなさない……」

「神の前では、我らのことわりなど……っ!」


「大騒ぎしすぎなんだよ。……で、これからどうするの?」


ユウサクは檻の隙間から、最も近くで土下座していた問診官に向かって、呆れたように問いかけた。その一言だけで、観覧デッキの職員たちは再びパニックに陥り、「不敬だ!」「いや、これは試練か!」と叫び声を上げながら右往左往し始めた。


蹂躙者の乱入


ユウサクが「話にならない」と肩を落とした、その時だった。


「――ドォォォォォォンッ!!!」


爆鳴と共に、純白の天井が粉々に砕け散った。

強固なセラミック装甲を紙細工のように引き裂き、数トンもの瓦礫が土下座する問診官たちの群れに降り注ぐ。白い粉塵が舞い、オゾンの匂に満ちていた部屋に、かつての横浜で嗅いだ「肉」と「暴力」の匂いが混ざり込んだ。


「ふむ。案外、清潔な場所を好むのじゃな、ユウサク」


粉塵の中から、扇子を優雅に仰ぐ浅葱の声が響いた。


「魔王様! お迎えにあがりましたわ!」


瓦礫の山を蹴散らし、真っ先にユウサクの檻へと駆け寄ったのは、頬を紅潮させたシズクだった。彼女の後ろには、羊の角を生やし、絶望的な瞳をしたメイド姿のミランダも控えている。


「あ……浅葱。シズクまで。……拠点作りはどうしたんだよ」


ユウサクが呆然と見上げる中、シズクは檻の鉄格子を素手で歪ませ、歓喜に満ちた声を上げた。


「拠点の設営は順調ですわ! それより、見てくださいませ、この光景……! 護衛も連れず、たった一人で乗り込み、敵の心臓部でこれほど多くの民を跪かせるとは……!!」


シズクは、周囲でいまだに土下座したまま震えている問診官たちを眺め、恍惚とした表情でユウサクを仰ぎ見た。


「やはり、私の目に狂いはありませんでした。魔王様こそが、この漂白された世界を真に支配する唯一の王……. さあ、魔王様! この白い檻など壊して、共に品川を蹂躙しましょう!」


魔王の慈悲という蹂躙


ユウサクは、周囲で額を擦り付ける「正解」の信奉者たちと、瓦礫の山を平然と踏み越えるシズクたちを交互に見やり、ひどく疲れた声を出した。


「……もう、殺さないで。君たち、すぐ殺しちゃうから嫌なんだ。どうせ殺す(排除する)くらいなら、再構築してあげてよ」


ユウサクは土下座したまま硬直している問診官の一人を指差した。


「城にぶち込んで、言うこと聞かせればいいんでしょ? その方が死体が増えなくていい。……あとは、勝手にしてよ」


「――ッ!!」


その言葉を聞いた瞬間、シズクの全身が激しく震えた。

彼女の着ていた衣服は、乱入時の衝撃か、あるいは彼女自身の昂ぶりによる肉体の膨張か、既にその形を失い、床に散らばっていた。


露わになったシズクの肢体は、魔王からの「生命の再構築」という直接的な慈悲の命令を受け、極限まで加熱されていた。彼女の秘所からは、どろりと白濁した愛液が糸を引き、無機質な白い床にまで長く伸びていた。


「ああ……ああああ……! なんと……なんと深い慈愛、なんと無慈悲な抱擁……!! 殺すよりも残酷な、生きたままの再構築を命じられるとは……っ!」


シズクは恍惚のあまり白目を剥き、床の粘液を撒き散らしながらその場に蹲った。彼女の細胞一つ一つが、ユウサクの放った「命令」を糧に、新たな蹂躙の形を定義しようと蠢いている。


包摂される狂信者と、選り好みの魔王


シズクの昂ぶりはもはや収拾がつかず、床に引かれた粘液の糸が彼女の震える脚に絡みついていた。その異常な光景に、ユウサクは心底から嫌気が差した。


「……仕方ないな。そんなに興奮して動けないなら、俺が運んでやるよ」


ユウサクはそう言うと、自らの肉体を再び黒い粘液状のスライムへと変貌させた。

ドロドロと不定形に広がったユウサクの質量が、全裸で悶えるシズクを足元から包み込んでいく。


シズクは抵抗することなく、むしろ自ら進んでユウサクのスライム体の中に深く沈み込んでいった。


魔王の体内を満たす、熱く、重く、粘り気のある黒い液体。それがシズクの全身を隙間なく覆い尽くし、あらゆるあなへと容赦なく侵入していく。口腔、鼻腔、そして激しく濡れそぼった秘所の深奥までが、ユウサクそのものである粘液に満たされ、蹂躙された。


「んぅぅッ、あぁぁぁッ……! 魔王様の内側に、かき回されて……っ!」


全方位から押し寄せる肉体的・精神的な飽和。肺の代わりにユウサクの体液を吸い込み、血管の脈動一つまで魔王の鼓動に同期させられる極限の快楽。シズクはスライムの中で手足を無様にバタつかせ、歓喜の悲鳴を上げながら白濁した泡を吹き、意識を混濁させていった。


ユウサクは、完全に意識を失い、液体の中で弛緩したシズクを体内に保持したまま、地上へと這い出した。品川浄化ゲートの白い外壁のすぐ外では、浅葱が優雅に待ち構えていた。


「……浅葱さん、カオス城を呼んでくれ。頼む。あいつをここに据えて、さっさと拠点を固めてほしいんだ」


スライムの表面を震わせて発せられたユウサクの声に、浅葱はシズクを飲み込んだ黒い質量をまじまじと見つめた。


「ふむ、シズクだけかえ? ……わらわのことは、飲み込まぬのかえ?」


浅葱が少し寂しげに、あるいは期待を込めて尋ねた。それに対し、ユウサクはスライムの触手を一本、拒絶するように左右に振った。


「お前はもう発情期終わっただろ。……だいたい、この前なんて体内のジェルを飲み干されちゃって、本当に大変だったんだぞ。なかなか補充できなくて、一時期俺、スカスカだったんだからな」


「カカッ! あれは美味であったからのう。お主の精髄を啜るのは最高の愉悦じゃ」


「冗談じゃないよ。お前を飲み込むと、俺の身体が減るんだ。……いいから、俺は美女しか再構築しないって決めてるんだ。あんなむさくるしい男たちを飲み込むなんて御免だね。汚いし……見てるだけで胃がもたれる。そういうのは城にやらせればいいんだ」


ユウサクの徹底した「選り好み」と過去の愚痴に、浅葱はあいた口が塞がらないといった様子で苦笑した。


「お主という男は……。まあよい。わらわが呼んでやろう。あやつも、お父様に置いていかれた屈辱で、今は穴の底で泣き喚いておるだろうからのう」


浅葱が扇子を空へ掲げ、咆哮の準備を始める。

品川の白い大地の上に、ふたたび巨大な肉の影が落とし込まれようとしていた。

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