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『カオスノイズ:東京拠点化計画~拠点を東京に移し、自分を殺せる勇者の育成に励むことにしました~』  作者: 猫寿司
第1章:カオス城、大地を駆る!

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第14話「東京制圧と血肉の知識」

プロローグ:白き彗星の放流


「ぺっ! ぺぇぇぇっ!!」


カオス城の外壁に突如として開いた「口の穴」が、激しい嘔吐音と共に、一塊の汚泥を荒野へと吐き出した。


粘液まみれになって転がり出たのは、三日間の「発情期」を終え、浅葱の手で奥の部屋から引きずり出されてきたショウゴだった。かつての白銀の騎士は、もはや見る影もなく痩せ細り、虚空を見つめて静かに涙を流している。


「……うげぇ。本当に『ぺっ』ってしたよ、この城」


ユウサクが王座からその光景ホログラムを眺めて顔を背ける中、浅葱は満足げに唇をなめた。


「ふふ、これほどまでに脆く、滑乖な男も珍しい。ユウサク、わらわはこの男を『放流』することに決めたのだ」


「は? 放流って、逃がすのか? せっかく捕まえたのに」


「当然よ。こやつの、あの鼻持ちならないナルシストぶり、そして絶望した時の救いようのないバカっぽさ……。わらわ、いささか気に入ってしまったわ。これほど面白い玩具、一度で壊しては勿体ない。また肥え太らせて、いつの日か再びわらわを楽しませるがよい」


浅葱の気まぐれな宣告により、聖浄軍最強の騎士は「お気に入りのバカ」として、ピンク色の霧の彼方へと放り出された。

歪んだ賞賛


「……ああ、ようやく理解いたしましたわ、魔王様! あなたの深淵なる、あまりにも高潔な思想を!」


ショウゴが放流された後の異様な静寂の中で、シズクが感極まった様子で叫んだ。彼女は床に膝をつき、祈るように手を組んでいる。


「は……? 何が、何を理解したの?」


ユウサクは、変わり果てたショウゴの残像を見て絶望していた意識を、無理やりシズクへと向けた。


「魔王様にとって、いともたやすい侵略など、児戯にも等しい……。そういうことだったのですね! 下等生物など、圧倒的な力で支配してどうなるのか。敵の指揮官すらあえて見逃し、希望を与えてから再び叩き潰す……。容易すぎる勝利は、王の魂を曇らせるだけの退屈な暇つぶしに過ぎないと仰りたいのですわね!」


「いや、シズクさん。どうして今までの流れで、そうなるんですか……? 今の、100%浅葱さんの気まぐれだよね?」


ユウサクは困惑しきって問い返したが、シズクは聞いていなかった。彼女の脳内では、魔王ユウサクが「あえて困難な道を選び、自らの手で蹂躙する快感を高めようとしている」という壮大な覇道物語が完結していた。


東京制圧と世界一周の計


「魔王様が真に求めていらっしゃるのは、ご自身の手で掴み取る『血沸き肉躍る冒険』を経ての蹂躙……! 素晴らしい……なんと恐るべき魔王としての自覚ですこと!」


シズクは立ち上がり、空中投影されたホログラムを操作した。そこに映し出されたのは、ドームに覆われたかつての日本の首都、東京地区の地図だった。


「手始めに、日本……この『東京地区』を完全に制圧いたします。ここを血と混沌で塗り潰した後、この星を一周してすべての国家を蹂躙する……。それが魔王様、あなた様の描かれた手はずですわね!」


シズクは淀みなく、地上の地理と戦略を語り出した。


「まずは新宿の管理マザーを物理的に咀嚼し、地下鉄の遺構をカオス城の血管として再利用します。その後、太平洋を渡り……」


「……ちょっと待って。シズクさん」


ユウサクは、ある一点に猛烈な違和感を覚えた。


「……君、なんでそんなに詳しいの? 地図とか、東京とか、地球が丸いこととか……。君、地底育ちでしょ? どこでそんな概念と知識を仕入れたんだよ。もしかして……」


知識の味


ユウサクの問いに、シズクは一瞬だけ動作を止め、愛らしく小首をかしげた。


「……どこで、とおっしゃいますと?」


シズクは口元をペロリと舌でなぞった。その仕草はあまりにも艶っぽく、同時に、捕食者が獲物の味を思い出したかのような残酷さを孕んでいた。


「魔王様のお世話をするため、地上の方々の『記憶』を少しだけ……効率的に吸収させていただきましたの。聖浄軍の兵士の方々や、道すがら見かけた現地の方々を、その、ほんの少し『つまみ食い』すれば、彼らの見てきた景色や知識がわたくしの中に流れ込んできますわ」


「……食べたな。現地人を知識欲のために食べたな、この子」


ユウサクは戦慄した。シズクが時折見せる有能さの裏には、文字通り犠牲者の脳を、魂を直接咀嚼して得た「血肉の知識」があったのだ。


「美味しい知識は、そのままわたくしの栄養になりますもの。おかげで東京の防衛網も、主要な人物の顔も、すべて把握いたしました。さあ、魔王様! 城の準備は整いましたわ!」


シズクは、城が吐き出したばかりの「冒険の装備」の中から、肉の装飾が施された不気味な剣を手に取った。


「東京を、あなたの足元に跪かせましょう!」

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