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『カオスノイズ:東京拠点化計画~拠点を東京に移し、自分を殺せる勇者の育成に励むことにしました~』  作者: 猫寿司
第1章:カオス城、大地を駆る!

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第13話「城の誘惑と冒険の始まり」

接続解除の拒絶


「……よし。もういいだろ、これ」


ユウサクは、生臭い「潮」の雨で濡れた顔を拭いながら、後頭部や背中に突き刺さった神経束を力任せに掴んだ。

城が意志を持ち、口を開いて喋り出したのだ。わざわざ神経を繋いで脳内に直接情報を流し込まれなくても、口頭でやり取りすれば済む話だ。何より、このヌメヌメした感覚と常に一体化しているのは、40男の精神衛生上よろしくない。


「抜くぞ。せーの……っ!」


『いやぁぁぁんっ! 抜かないで、愛しのユウサク……っ!!』


城そのものが絶叫を上げるが、ユウサクは構わず全ての神経束を力任せに引き抜いた。ブチブチと不気味な音が響き、ユウサクの背中から城との物理的な繋がりが消失する。


「ふぅ……。ようやくスッキリした。喋れるんだから繋がってる必要ないだろ。不便なんだよ, これ」


『そんな……ひどいわ、ユウサク…….私たちはもう、物理を超えて、精神で一つになってしまったのよ……。あなたのドロドロした記憶も, 私の熱い胎内も, すべてが溶け合って……あぁ、もう逃げられないわ……っ』


「……。……。……勝手に言ってろ。俺はもうお前とは繋がってないからな」


おびえ、ののしるユウサクを嘲笑うかのように、城は満足げな溜息を吐息として館内に響かせた。


鉄の吐瀉物と「冒険」の誘い


その時、先ほどアーマードスーツを舐めとったばかりの「口の穴」が、再びぐにりと歪んだ。


「げぇ……また何か出すのかよ」


ドロリとした粘液と共に、城の口から何かが吐き出された。それは先ほど食べたはずの鉄くず――ではなく、奇妙な形に「再構築」された武具の数々だった。


「……これ、剣? それに杖と, マント……あと, 扇子センス?」


床に転がったのは、不気味に脈打つ肉の装飾が施された、生物的な剣。竜の鱗のようなものが貼り付いた杖。そして、返り血のような赤い模様が刻まれたマントと、なぜか優雅な扇子だった。


『あなたたち人間が求めているのは、こういうことでしょう? 「冒険」よ……!!』


城は高らかに、少女のような無邪気さと、魔女のような狡猾さを混ぜた声で宣言した。


『この装備を使いなさい。そして, たくさんの男をここへ連れてくるの。……この世界から、私を満足させる男がいなくなったら、次の場所へ移動しましょう?』


「……お, 男を連れてくる……? 何のために」


ユウサクの問いに、城は答えなかった。ただ、王座の間の中央にある「肉の穴」が、空腹を訴えるように クチュリと音を立てて波打った。


その「分別」された穴の使い道を、ユウサクは嫌というほど理解してしまった。


「なんてこと言うんだ、この特殊な生物は……。冒険って……俺たちをエサの調達係にする気かよ」


ユウサクは床に転がった、生暖かい剣を見つめた。

奥の部屋からは、ショウゴを連れ去った浅葱の狂おしい高笑いが聞こえてくる。

カオス城は今、ただの要塞から、獲物を誘い込む「巨大な罠」へと変貌を遂げようとしていた。


三日間の混濁


それから、丸三日が過ぎた。

浅葱がショウゴを連れて奥の部屋へ消えてから、カオス城全体が激しく、リズミカルに震え続けている。


「……うるさい。本当に、うるさいんだよ」


ユウサクは耳を塞ぎ、王座の下で膝を抱えていた。神経束を引っこ抜いているおかげで、脳内を直接快感で焼かれるようなことはもうない。だが、壁を隔てて聞こえてくるのは、浅葱の狂おしいほどに艶麗な喘ぎ声と、それに応えるショウゴの、絶望に満ちた悲鳴と叫びだった。


その生々しい不協和音と、床を伝って響く不気味な振動。壁からは絶えず甘ったるい蒸気が噴き出し、空間全体が饐えたような生命の臭いに満ちている。


「魔王様……っ、わたくし、もう……身体が……っ」


隣で蹲るシズクは、白磁の肌を激しく火照らせ、瞳を潤ませてユウサクを見上げていた。城の放つ濃密な「臭い」と振動に当てられた彼女は、震える手でユウサクの裾を掴む。


元々、この二人は暇さえあれば互いの肉体を貪り合う関係であったが、ここ数日の騒動でその余裕もなかった。隣室から響く地獄のような狂演は、溜まっていた火種に火をつけるには十分すぎる刺激だった。


「……シズク、おいで。……そういえば、地上に出てから一度もしてなかったな。こっちに来い」


ユウサクの声に、シズクは弾かれたように彼の下半身へと這いつくばった。震える手で布を割り、剥き出しになったユウサクのそれを、おもむろに口に含んだ。「じゅるぅ……、ちゅぷ……」と生々しい吸飲音が静寂を侵食し、熱い口腔の感触と舌が丹念に這いずる感覚がユウサクを襲う。シズクの喉の奥からは「くぅ……ん、んぅ……」と抑制の効かない鼻声が漏れ、ユウサクは背中を反らせながら、その銀髪の頭を無意識に押さえつけた。


隣室から聞こえ続ける浅葱の歓喜とショウゴの悲鳴に煽られるように、二人の情欲は一気に沸点を超えた。ユウサクはたまらずシズクを引き上げ、王座の下、濡れた床の上で貪るように交わり始めた。


「あ、はぁ……っ、魔王、様……っ!」


シズクの白磁のような、しかし一部に透明な竜の鱗が硬く張り付いた胸が、激しい律動に合わせて無防備に揺れる。彼女の背中の翼は、快楽と衝撃に耐えかねるようにガタガタと震え、時折濡れた床を「バタバタ」と激しく叩きつけた。


「ぐちゅ……、ぴちゃ……っ」


肉と肉がぶつかり、粘膜がこすれ合う不快で甘美な音が、壁の向こうの悲鳴と重なり合う。ユウサクはシズクの肉体に深く沈み込みながら、聴覚を支配する「地獄の旋律」を自分たちの肉欲の律動で塗り潰そうと、ただひたすらに、機械的に腰を振り続けた。


やがて、ユウサクは自らの意思で、40男としての輪郭をドロドロと崩し始めた。高まる情欲と城の振動に合わせ、より深い快楽を求めて人間という形を意図的に捨て去る――それは彼らにとって、最も心地よい「いつもの」営みだった。理性を残したままスライムへと溶け落ち、シズクを包み込んでいく感覚は、彼に極上の悦びを与えていた。


「あ、あ、ああああああ……ッ!」


ユウサクの叫びが獣のような咆哮に変わり、その肉体は巨大な、漆黒のスライムへと変貌を遂げた。不定形の黒い粘液が爆発するように膨れ上がり、シズクの華奢な体を一気に飲み込んでいく。


「ん、んんぅ……っ!? ぶ、ぶく……、ぷは……っ!」


シズクは全身を粘り気のある漆黒の海に包まれ、その内部へと引きずり込まれた。呼吸の代わりに、熱くドロドロとしたユウサクそのものである粘液が口腔や秘所に侵入し、彼女を内側から蹂躙する。シズクは「ぶくぶく」と泡を吹き、意識を混濁させながらも、魔王と完全に一体化する至高の快楽に身をよじらせた。黒いスライムの内部で、彼女の銀髪と翼が美しく、そして無様に舞う。


それは、人間という枠を捨て去った者たちによる、混濁した愛の極致だった。


帰還した女王と、枯れ果てた騎士


四日目の朝。

不意に、奥の部屋の肉の扉が、音を立てて開いた。


「……ふぅ。ようやく落ち着いたわ」


現れた浅葱は、三日前よりもさらに艶やかに、さらに不気味なほどの生命力に満ち溢れていた。その肌は透き通るような輝きを放ち、背中の羽は満足げに微震している。


だが、彼女がその手に引きずっている「モノ」を見て、ユウサクは戦慄した。


「……ショウゴ, さん?」


そこにいたのは、かつての白銀の騎士ではなかった。

スーツを剥ぎ取られ、ボロ雑巾のようになったショウゴが、浅葱の手によって床をズルズルと引きずられていた。

彼の肉体は、まるで中身をすべて吸い取られたかのようにガリガリに痩せ細り、肌は生気を失って「カラカラ」に乾いている。


「あ……う, ぁ……」


ショウゴの目が虚空を見つめ、焦点が合っていない。

彼は壊れた人形のように、ただ静かに、悲しく泣いていた。頬を伝う涙だけが、彼がまだ生きていることを証明している。聖浄軍のエリートとしての矜持も、機械化された強靭な精神も、浅葱という「種の女王」の欲望の前では、ただの儚い糧でしかなかった。


「よい素材であったぞ、ユウサク。こやつ、最後の方は泣きながらわらわを求めておったわ」


浅葱は満足げに笑い、枯れ果てたショウゴをゴミのように床へ放り出した。

ユウサクは、変わり果てたショウゴの姿を見て、再び人間に戻りたいという切実な願いを、さらに強く抱くのだった。

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