四話 嵐神住まう国
「船長長旅お疲れ様です。」
「いいってことよ!」
「今回はほんとに助かりました。船長の航海技術がなければ、僕はこの海で死んでいました。」
「そりゃよかったこった!俺もこの海を来たからには、やることがある。礼はこの船を作った技神の奴にいいな!」
「そうですね、そのことも含めて一度技神にも会いたいです。」
「この国を出たら、一度知の里に立ち寄れ、そこで技神はまってる。ただしうまい酒を持ってくことだな。やつはずいぶん酒好きと来たもんで、酒があればちょっとは話が弾むかもな?」
うまい酒か、、、ここは双極島、酒の特産地だ。
買うならここで買っていくべきか。
「有力な情報ありがとうございます。」
「そんじゃ、俺はここらでな!またなそのうち会うさ!そんときは土産話持って来いよー!」
そうして俺は船長と別れた。
ここからは手探りで、嵐神の情報を探らないとだな。
確か、サムライという名の兵士をもっていたっけか。
あとは都の名はランノマチとかいったか、珍しい国だ。
基本的に平和な国なのになぜこんなにも近海だけが荒れているんだ。
もしも嵐神に出会えたら、それも聞いてみよう。
港から二日といった距離だ。
俺は都のランノマチについた。
活気あふれる平和な街だ。
みな腰に剣を据えている。
平和とは裏腹に、常に戦えるようにしている。
なにか不気味な雰囲気だ。
「おい、そこの童何者だ。」
「こんにちは、スーザ皇国から海を渡ってきました。何也 現人と申します。」
「ほう、外界からのものか。何故この都へ参った。」
「嵐神に謁見したく存じ上げます。」
「嵐神様に謁見?はははっ!面白いことを言う。ならばまずは我に勝て。」
「え?ここは知神の納める西側、力による権利を振るうのは禁止されています!」
「禁止?それは誰が決めたことだ?賢者たちが決めたことであろう。ならばこの国では通用しまい。」
「そうです。賢者の三神が決めた世界のルールです。それはいかなるものであろうと破れば、力統へと島流しにされると決まっていることです。」
「よいか、童この国を納める神は嵐神ぞ。嵐神は武神 スサノヲの分身体ぞ。知神のルールなんぞこの国では通用せぬ。この国は神が直々に納める神の国だ。ほかの国とは違う。知恵だけなど余りにも腑抜けた考えだ。知恵と力 どちらも使えばいいだけの話だ。」
「そんなの許されません!ほかの神が黙っていません!なぜそんなことが今の今まで、世界にバレていないんだ!」
「なにを言う。知神がこれを知らないとでも思うのか。これはルールの外にいる嵐神様が納める国だから許されているのだ。とは言っても、三神の一人である武神の分身であり、力と知恵の両方を持っている嵐神様を世界が恐れおののいているようにしか我には見えんがな。」
「恐れおののいている!?そんな馬鹿なわけがあるか!」
「無駄口を叩いても意味がない。童の中で一番強いもので勝負しよう。言うてみよ。」
「いいでしょう。受けて立ってやりますよ。」
そうして俺は、知恵で勝負を仕掛けた。
勝負の内容は、将棋での勝負だ。
俺は学校では負けなしだった。
「王手。」
「え?そんな、、、俺は負けなしだったのに、、、」
「よいか、この世は知恵だけで勝負するものではない。この勝負では特にだが、将棋というのはいわば戦場だ。」
「戦場、、、」
「あれは遊びではあるが、戦場だ。故に論理よりも経験が足を貸す。実際に戦場に出て刀を振るえば見える景色も変わってこよう。
「面白い。童の謁見を許可しよう。」
「え?でも僕負けましたし、」
「よい、貴様のように純粋な存在も珍しい。嵐神様もよきごくつぶしとなりましょう。」
「ありがとうございます。それでいて日時は?」
「明日の夕暮れこの場所に来い。そこで神の間へと案内しよう。」
「わかりました。ありがとうございます。」
「ではまた明日。待っておるぞ。」
そうして俺は、運よく神への謁見を許された。
明日、神になにを質問しよう。
まずは近海についてだな。そして、どうやって底辺から賢者へと上り詰めたのか。いや失礼か。
二つ目は過去の戦争でなにが起こったかとかか、
三つめは武神との関係性についてか。
こんなもんでいこう。
あんまりにも多すぎたら何か言われそうだしな。
なんというか怖いな、、、力神の分身ともあってちょっとでも無礼を働いたら、殺されてたりしないだろうな。ここ知統では殺人は禁止されている。でもここでは力を振るうことは別にルール違反ではない。
まあでも、死にはしないか。
そうして明日を期待し眠った。