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別れた後

一葉を送り届けた美人の名前は「幡生匠美(はたぶたくみ)

この世界では言わずと知れた天才、HUMO(ヒューモ)研究の第一人者である。

採用された彼女の案は、昨今の緊迫した国土防衛の状態ではすっかり形骸化してしまい、気がつけば車両状態で運ばれるのは機体の長距離輸送時のみとなってしまった。

更に「外の者」の徴兵年齢の引き下げにより、本来であれば青春を謳歌しているはずの年齢でさえ、ろくに習熟訓練を受けさせて貰えず「重量半分・価格半分・寿命半分」と揶揄される機体で最前線へ送られ、半ば捨て駒として扱われている状況に我慢ならなかった。


そこで自ら国立にある技術研究所へ定期的に出向き、関東圏に配属されているHUMOの戦闘データの回収と機体OSの改修パッチ配布を行ってきた。そして、今回たまたま帰還中にHUMO部隊の人が隣の席に来たので話しかけたのである。話してみると彼女はどうやら自分の機体を今から受け取りに行くらしい。


そんな彼女を送り届け、徳山東ICから山陽道に入り運転しつつ考える。


相手との腕の差があるとはいえ、最近の機体は制御アシスト機能が標準装備されている。

それを訓練機で凌駕しているのだから相当強い。

彼女は「向こうの連携が一向に上達しないので、1対1に持ち込んで白兵戦に持ち込んでるだけなんですよね。」なんて謙遜してたけど、1対1でも並の腕なら最近の機体が間違いなく勝つ。白兵戦なら尚更だ。

話が本当なら、彼女を鍛え上げて洗練された操縦技術データをほかの機体にフィードバック出来れば、人命・機体共に消耗を抑えられ、各HUMO製造を行っている事業者も納期通りに完成させられるようになるのではないか。


「彼女を一時的でいいから、うちお抱えのパイロットに出来ないかなぁ〜…でもなぁ〜…」


天性の操縦技術を持っている彼女をこのまま関東に帰らせたくはない。しかし、それは完全に自分のエゴである。

自分自身権力者によって散々振り回された過去があるので、出来れば権力を振りかざしたくない。


ふと、アクセルを踏んでいるのに速度が上がらないと思い車のスピードメーターに目をやると、なんと160km/hの表示が!

ヤバい!慌ててアクセルを緩める。リミッター入れといてよかった。


いかんいかん、考えて込んで事故でも起こしたらシャレにならん。


そう思い、気分転換に立ち寄った美東SAで缶コーヒーと軽食を買い車に戻る。


はぁ、考えたところでどうにもならないか…


食事を済ませた彼女はそう思い直し、安全運転で本拠地「下関総合車両所」へ帰還した。



その3日後に小浜湾沖に現れたナイトメアの侵攻を受けた為、日本の東西を結ぶ陸路が完全に寸断されたのであった。

この世界では、姫路から播但線経由で山陰方面へ向かい、和田山手前の短絡線で山陰本線〜小浜線経由で敦賀まで向かうルートが日本の東西を結ぶ唯一のルートです。

加古川から加古川線〜福知山線を通り、福知山手前で短絡線を使い小浜線に入るルートもありますが、絶対防衛線に近いので余り使われないようです。

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