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日常

「それでは、模擬戦を開始してください」


南入曽基地の模擬戦闘エリアに戦闘開始のシステム音声が響く。


戦闘開始の合図と共に、少女萩山一葉(はぎやまいちは)は両手に握っているレバーを一気に奥に押し出し、黄色にベージュのラインが入った訓練用機体101系を加速させる。


戦闘エリアはそこまで広くない為すぐに相手の機体が目に入る。


相手は同じ部隊メンバーの2人

搭乗機体は2人とも白をベースに所々に水色と緑のグラデーションがかかっている30000系。どちらも3ヶ月前に受領したばかりの新型だ。


機体性能で言えば月とスッポン、更に1vs2、今回は相手2人の機体習熟と連携強化目的で打ち合わせしたとはいえ、やっぱり鬼畜過ぎない?


まぁ、訓練生歴代最強の名誉を欲しいままにしてきたこの私を舐めちゃうと痛い目見るけどね!

あ、これまーた向こう連携出来てないな。勝てるわ。



「ちょっと!どうして私が一葉を足止めしている間に攻撃しないのよ!」

「僕が足止めしている時には追撃してくれないくせに!?」

「あれが足止めのつもりなの?もっと派手にやってもらわないと」

「君みたいな足止めしている中に入っていったら、命がいくつあっても足りないね」


ミーティングルーム

模擬戦の相手、勝気な性格の少女鷺ノ宮唯夢(さぎのみやいむ)と、いつもは穏やかな性格の少年小平一那(こだいらいいな)がいつも通り言い争っている。訓練後いっつもそうだもんなぁとため息をつきながら、その様子を肘をつき片手でペンを回しつつ退屈そうに眺める。言い争いする位なら次回はどうするかの話し合いをして欲しいなぁ…毎回毎回連携出来てないんだもん。戦場に出るようになったらどうするつもりなんだろ?戦闘中にいがみ合わないだけマシか、長引くと2人とも口調が段々強くなってくるけど…


「夫婦喧嘩は犬も食べないのになぁ〜」

最初は止めに入っていたが、さすがに毎回毎回10~15分強制イベントで見せられる身にもなってみろと、嫌味ったらしく聞こえるように呟いてみる。

『誰が夫婦ですって〜!?』

『誰が夫婦だって!?』


うへぇ…息ぴったり。すっごい息ぴったり。ここで息を合わせるんじゃなくて、戦闘中に息を合わせてよ…

思わずため息が出る。

実際、2人は戦闘以外は気が合っている感じがする。仲がいいほど喧嘩するってやつ?

機体自体も生産が遅れに遅れて結局同時期に受領しに行ってたもんなぁ…コッチは1週間ボッチ訓練で寂しかったんだぞ。


「一葉の機体が届けば私たちも正規部隊になれるんだけどね」

強制イベントが終わって、唯夢がこちらに話しかける。

「僕も同感。機体はあるのに他の人が出撃していくのを指を加えて見ているだけなんて出来ないよ」

一那も腕を組みながら頷く。

私が悪いわけじゃないんだけどなぁ〜

半分呆れながら、私だってと言いかけたところで一葉の携帯端末のメッセージアプリ「Qulook(クルック)」の通知音が鳴る。


3人で画面を見てみるとそこには、


機体受領の目処が立ちましたので、急ではありますが明日の午後下松の笠戸事業所へ向かっていただきます。

急な連絡となり申し訳ございません。

詳しい事は追って連絡致します。


と書いてあった。

Qulook:・素早い、迅速な、即座の意味を持つ「quick」と、見るの意味を持つ「look」を合わせた造語。

・古来から通信手段の一種である、伝書鳩に用いられるカワラバトの鳴き声「クルック」と掛けているらしい。

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