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プロローグ

この世界は、「ナイトメア」と呼ばれる地球外起源種に襲われている。1990年代前半に突如としてポーランド付近に現れたそれは、突然の出来事に足並み揃わぬEUを嘲笑うかのよう、瞬く間にヨーロッパを蹂躙していった。


正式名称は「Unidentified extraterrestrial object causing disaster」

日本語訳で災厄を引き起こす正体不明の地球外物体と呼ばれ、略称もしっかりとあったが、フランクフルト迎撃戦の際、物量差に歯が立たずただただ周りが蹂躙されていく姿に「It was... a nightmare...」と、奇跡的に命からがら帰還した国連軍軍曹の言葉が、いつしか使われるようになった。


その事実を目の当たりにした世界各国は、新たな防衛対策に追われることとなった。


その際、幡生匠美(はたぶたくみ)博士が「日本は路線網が充実している事を利点とし、迎撃地点近くまで鉄路で向った後、HUMO(ヒューモ)となり敵を迎え撃つ」案を提案する。

飛行場みたく広大な用地を必要とせずとも全国に戦力を展開でき、平時は使っていない線路に留置すれば問題ないという、一件合理的な案に政府はすぐに研究予算をだす。


しかし、

・変形時に線路が使い物にならなくなるのではないか?

・機体だけ変形した所で武装が別に必要ではないか?

HUMO(ヒューモ)状態で置く場所がないのではないか?

・そもそも変形はものの数秒で出来るのか?

・変形時のパイロットの負担は?


など、多少考えれば分かりそうな問題点が次から次へと指摘され、結局「平時に戻った際にすぐに輸送力を強化できる。」という理由で列車⇄HUMO(ヒューモ)の変形機構は残されたまま、ひとまず列車として新造、または既存車両の改造をされる事になった。また、各鉄道会社は有事の際には独立軍として強制的に戦うように法改正がされた為、適正検査でパイロットとして選ばれなかった職員以外の全員に最低限の戦闘訓練が行われるようになった。


その後2008年頃、朝鮮半島経由で襲撃してくると思われていたナイトメアは、まさかの東京湾沖に出現。日本海側に戦力を集中展開していた為、限られた戦力で必死の首都防衛をするも陥落。彼らは名前に違わぬ光景を遺した後、西に歩を進め関西まで進出した。しかし、ありったけの戦力をかき集めた大阪防衛戦にて甚大な被害を出しながら三ノ宮付近で進行を食い止めることに成功した。


吹田より西への防衛成功後、直ぐに首都を広島に移し、南は熊本、大分、四国山地、東は明石海峡を南端とし、丹波山地〜舞鶴までを絶対防衛線とし、戦力を集中させている。また、被害を免れた北陸、東北地方も野坂山地〜両白山地〜北アルプス〜越後山脈〜阿武隈高地より北を境に生活圏を確保している。

とはいえ、青天の霹靂ともいえる出来事に、生き残った者の全てが安全圏へ逃げきれた訳では無いので、圏外の若者はある程度の年齢になると、男女関係無く適性検査を受けた後、自衛隊または鉄道会社に徴兵され、衣食住の提供の見返りに貴重な戦力として、生活地域の防衛と国土奪還に駆り出されるのであった。

HUMO:「人型多目的用途機体」の略称。その名の通り用途は様々で、身近な所であれば災害現場での救出活動や、生身の人間が入れないような場所での作業に使用される。

大きさも様々で、小さい機体は2m、大きい機体は30mにもなる。

現在は戦闘しながら情報収集する為に複数人搭乗できるタイプもあるとか。

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