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野盗

 ヒュータンの街を出ておよそ5時間、ガラガラと地面を擦りながら馬車は森の中の道を進んでいる。

 私は街で買った小説を読み続けている。移動の間はどうしても暇になる。特別小説が好きだというわけではないが、読書は長時間の暇つぶしに最適だ。小説の内容が恋愛でもミステリーでも歴史でも構わない。それが読める文字で書かれていれば何でもいい。

 他はというと、クロエは相変わらずずっと窓の景色を眺めている。レンは私が与えた本をゆっくりと読み進めている。たまに難しい顔をして、単語の読みや言い回しの意味を訊いてくる。そしてもう1人はというと…。


「ねぇ〜、まだぁ?その、タランチュラって街ぃ」


「タランヘイルまでは、あと2週間はかかりますね。途中の村などを経由する形になりますが」


「もう飽きたんだけどー」


 この胸がデカいだけのエルフ、ルシアナはこうやってさっきから子どものように騒いでいる。

 正直、こいつを連れてきたことを後悔し始めている。

 レンは私個人が気に入ったから連れてきた。だがルシアナを連れてきたのは気に入ったからじゃない。

 こいつを連れてきた理由は耐久性、と言えばいいのか…。体力もあってメンタルも強いというのが理由だ。

 ヒュータンの街でレンで遊んで彼女が落ちた後に、私は街の娼館に行っていた。そこでもやることは変わらない。適当に選んだ娼婦の体を弄ぶ。大体の娼婦は2時間足らずでギブアップする。そしてまた指名しても拒否されることが多い。

 だけどルシアナは一晩中行為を続けた次の日でも指名を拒否せずに相手をする。私が言うのもなんだが、すごいと思う。

 ある日ルシアナは私と、どっちが相手をよりイカせられるかという勝負を勝手に始めた。私は性欲とか人並みの感性が死んでるから、ルシアナが責めても特に何も感じない。だから絶対ルシアナが負ける。

 普通の人間なら自分の体を滅茶苦茶にする私を怖がるものだ。実際王都でもそうだった。娼婦を壊して出禁にされたこともある。だから私の責めに耐えられるこいつは都合が良い。乳のデカい奴が欲しいとも思っていたし、レンの負担も減るし。

 ただ、ここまで我儘だとは…まあ予想はしていたが。


「ねぇ〜、お菓子とか持ってきてないの?」


「わ、私に訊かないでください」


 煩わしい。静かにさせる方法はないものか。


「そんなに暇だと言うんなら本でも読めば良いだろう。好きなの読んで構わないぞ」


「ウチが本とか読めると思う?」


「え、ルシアナさんって字が読めないんですか?」


「ちゃうちゃう、そういうことじゃなくて単に本読むのが苦手なだけ。本なんて退屈だし、2ページ読んだら眠くなっちゃう。逆にレンレンはよく読めるね、そんな分厚い本」


「私も前まで本を読んだことなかったですけど、案外面白いですよ。それに難しい言葉がいっぱいありますけど、リナさんに教えてもらいながら読み進めていると、なんだか賢くなっている気がしますし」


「一番近いのウチなんだからウチに訊きにくればいいのに」


「…難しい言葉、分かるんですか?」


「分かるよ!えっと、ドラゴンフルーツとか、積乱雲とか、エメラルドとか…ムズイっしょ!」


「…はい」


 読書は無理と。他にこいつを黙らせる方法は…。


「おーーい!!」


「え!?」


 馬車の前方から突然人の呼び声が聞こえてきた。


「助けてくれーーー!!」


「人が倒れてますね」


 クロエが窓から頭を出して前を見ながら言った。


「どうする?助けんの?」


「何言ってるんですか!助けるのは当たり前ですよね!」


「…馬車を停めろ」


 私はクロエに指示して馬車を停める。そしてクロエと私が馬車の外に出る。


「2人は中で待ってて。いい?言うこと聞かなかったらお仕置きだからね」


「お仕置きって?」


「あまり想像したくないことです…」


 レンとルシアナに指示を出して、私とクロエは声の主の近づく。


「どうしたんですか?」


 クロエが声をかけると、男性1人が駆け寄ってきた。


「歩いていたら、仲間の1人が急に倒れて、どうしたらいいか分からなくて…」


「クロエ、診てやって」


「畏まりました」


 私の指示を聞いて、クロエが倒れている人の元に向かう。


「いやぁ、本当にありがとうございます。なんとお礼を言ったらいいか…」


「いえいえ…ところでさっき、仲間の1人と言っていましたけど…」


「はい…」


「あそこの茂みに隠れている2人でお仲間は全部ですか?」


「…」


「冒険者崩れが盗賊になるのはよくある話だけど、あそこまで隠密が下手な奴は中々いないんじゃないかな」


 バッ


 そしたら目の前の奴が懐からナイフを取り出して刺しに向かってきた。

 私はそれを避けると同時に足を引っ掛けてそいつを転ばせる。ビターンと勢いよく地面に転んだそいつの頭を2回強く蹴り、両腕を関節と逆方向に曲げる。


「ウグアアアァァァ!!」


 こいつの叫び声の中クロエの方を見ると、すでに3人が地面に倒れており制圧し終わった状態だった。


「そいつらの手足縛ってこっちに座らせろ!」


 少し離れたクロエに指示を出す。

 4人全員の手足を縛って、馬車の近くに膝をついて座らせる。


「もう大丈夫だよ」


 私は馬車の中の2人に声をかける。


「ほ〜ら、ウチの言った通りだったでしょ?」


「ほ、本当に、盗賊だったんですか?」


「うん。尋問するのにもう少しかかるから、まだちょっと待ってて」


「ついでだしさ、ウチと一緒に見学しようよ。いい人生経験になんじゃない?」


「…尋問って、見学とかしていいものなんですか?」


「別に見てるだけなら構わないけど、騒いだりしないでね」


 そんな感じでレンとルシアナの2人を盗賊から少し離れたところに置いてから、尋問を始める。

 その時には丁度クロエが盗賊のボディチェックを終わらせており、出てきたのは小銭が少しとナイフが4本だけだったようだ。

 盗賊には目隠しがされている。


「よく聞いてくださいね。今から1人ずつ目隠しを外して質問をします。答え方は頷くか首を振るかしかありません。もし僅かでも声を発した場合、その瞬間全員の首を刎ねます。他の人と回答が違った場合も、即刻斬首となるので忘れないでください」


 それから1人ずつ、クロエが目隠しを取った奴に質問が書かれた紙を見せていく。質問の内容は、他に仲間はいるか、これを指示した者はいるか、仲間含め人を殺したことはあるか、子どもを傷つけたことはあるかの以上の事項だ。

 はっきり言うと、答えが違っていても殺しはしない。質問で大事なのは最初と最後だけ。

 他にも害虫がいるか、そいつが地獄を見るべきクズか…それだけが分かればいい。

 約10分後、全員に質問が終わった。全員答えは一致しており、他の仲間はおらず、子どもを虐げてはいないと答えた。嘘も言ってないようだ。

 つまり、もう全員用済みだ。


「あの、この人たちどうするんでしょうか?」


 レンがルシアナに小声で話しかける。


「どうするって、そりゃ〜…」


「クロエ」


 ザンッ


 クロエに合図して、4人全員の首を刎ねる。


「あーするしかなくない?」


「……な」


「終わったよ、行こうか」


 私は2人に尋問の終了を告げる。


「なんで、全員殺したんですか…?」


「ん?」


「全員、人殺しではなかったんですよね。いや、嘘かもしれませんけど…だからって、殺すのは…」


「じゃあ、レンはどうすればよかったと思う?」


「それは…街に連れて行って、然るべき罰を受けさせて、教会などで更生を…」


「フッ…」


 レンの答えにルシアナが笑った。


「な、なんで笑うんですか…?」


「ごめんごめん、あまりにもピュアだったもんでさ…」


「どういうことですか…」


「こいつは無視していいよ。じゃあさ、レンの言った通りのことをしたとして…どのくらいのお金がかかると思う?」


「…お金?」


 私の言葉を聞いてレンは、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしている。


「その地域にもよるけど、街への移送も、拘置所に置いとくのも、裁判するのも、牢屋の食事も、教会への手配も…全部お金がかかるんだよ」


「だからって殺すのは…命はお金じゃ買えないんですよ」


「お金じゃ買えないけど、お金を出して買うほどの価値もないでしょ」


「っ…」


「いやエグ…」


 レンは何か反論したいようだったが、彼女の口から言葉は出てこなかった。


「それにさっき言った裁判とかのお金は、全部国民の税金なんだよ」


「…」


「普通に暮らしている人たちが納めた税金が、ああいう盗人とか人殺しのために使われる。馬鹿らしいでしょ」


 レンはずっと不服そうな顔をして私の話を聞いている。

 私はレンの頭を優しく撫でながら話を続ける。


「もちろんレンのそういう考えは大事だよ。現実だけ語っても何にもならないからね。ただ、綺麗事だけでは何も成せない、これだけ覚えておいてくれればいいから」


「…」


「一度自分で考えてみるといいよ。レンの思慮深さなら、自分自身で何かを見つけられることもあるだろうから」


「…」コクッ


 レンが小さく頷く。


「じゃあ、行こうか」


 死体をそのままにして、私たちは再び出発した。死体はすぐにでも魔物や野生動物が掃除してくれるから、わざわざ証拠隠滅をする必要がないから楽だ。

 そこから進めるだけ進んで、日が暮れた頃に外にテントを2つ設営して夜を迎えた。

 今日の夜は、ルシアナだけ服を脱がせてレンはそのままにしてある。


「あの、私クロエさんのテントに行ってもいいですか?」


「だめ、今回はそこで見てて」


「夜も良い見学できてよかったね、レンレン♫」


「全然よかないんですけど」


「1人でならいくらでもシていいからね」


「しませんよ…」


「ねぇ早くヤろ♡」


 そう言ってルシアナは、大きな胸を私に押し当てて密着し、初っ端から舌と舌を絡ませる激しいキスをしてきた。


 ヂュル ヂュ〜ッ


 私はディープキスの最中、ルシアナの両乳首を指で挟んでクニクニと転がす。


「ッ…♡ハァ…ッ」


 ルシアナが甘い吐息を漏らす。

 すかさず私は彼女の股の間に手を伸ばし、小突起を指先で優しく撫でる。


「ングッ…!♡♡それヤバ、キモチイイ…♡」


 私は段々と指の動きを強くする。乳首は爪先でカリカリと弄り、小突起は指で摘んでコリコリと弄ぶ。


「ちょ、それダメ…♡ヤッバ…♡」


 ルシアナの表情から余裕が消えてゆく。


「ンッッ………グアッ!!!♡♡♡」


 ルシアナの体が大きくビクンッと飛び跳ね、絶頂を体現する。


「ハァ…♡ハァ…♡ねぇ、ナカもイジって…もっとイカせて♡」


 ルシアナが私の耳元でおねだりを囁く。

 それからは2時間以上彼女で遊んだ。全ての性感帯を責め続け、彼女が嫌だと言っても体に快楽を注ぎ続けた。もはやテントにはルシアナの濃厚な雌の香りが満ちていた。


「……♡………♡」


 ルシアナはとうとう気絶し、地面に突っ伏しながら未だ体を震わせていた。

 そう言えばレンはというと、開始10分くらいから自分でイジり出していた。ルシアナが落ちても、レンはまだ自分の指を動かし続けていた。

 私はそんなレンに近寄って…。


「レン…」


「リ、リナさ…」


 キスをすると同時に、レンのナカに指を入れて恥骨の下を優しく刺激する。

 その瞬間、レンの肢体が今までにないほど飛び跳ねて、弓のように体をのけ反らせたまま目が虚ろになっていた。

 そうしてすぐにレンも気を失った。2人の体を拭いて、寝袋に寝かせて、消臭のポーションを割って今日の娯楽は終わった。

 私はテントを後にして、馬車の屋根に登る。街の明かりがない分、星がよく見える。だからなんだという話だが…彼女はこういうものを好いていたと、少しだけ思い出す。

 …まずは4匹。

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