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閑話 遂に来た‥

 イチノセ町で宿屋をやっている。

 おばあちゃんが始めた宿で母が継ぎ、今は私が継いでいる。

 娘はここを継ぐ気があるのかは分からないけれど、冒険者としていろいろな所に行っている。

 おばあちゃんは別の世界から来た異世界人だったんだけど、家族以外は誰も知らない。

 その事を誰にも言ってはダメよと小さい時から言われていた。

 少し大きくなった私は宿の名前を聞いた。

 おばあちゃんがここに来る前に居たにほんニホンの言葉で『春夏秋冬』ニホンは四つの季節があってその一年を表す言葉だそう。

 ここではおばあちゃんが言うには春しかないらしい。

 暖かい日と少し寒い日があるだけで一年中あまり変わらない。

 私はその季節というのが良くわからなかったんだけど、娘が冒険者になりいろいろな所へ行って話を聞いた時に暑い国へ行った事やスノウが降る寒い国へ行った事、これがもしかしたらおばあちゃんが言ってた夏と冬なのかな?

 


 私の家ではお昼ご飯がいつも決まっていた。カレーと言うもの。

 カレーライスやカレーうどん、スープカレー。

 飽きたと言ってもこれだけは変えられないと言われた。

 そしてカレーの話もしちゃダメと言われた。

 この国には無い料理だし、広めるつもりも無いと言われた。

 


 15歳の成人を迎えた時におばあちゃんとお母さんから話があった。

 おばあちゃんはずっとニホン人を探していること。

 帰り方を探していた事。


 おばあちゃんと同じ様にニホンから来た人が居れば、今のニホンの事について聞きたいし、一緒に帰りたいと思っていたそう。

 おばあちゃんはニホンで結婚してて、旦那と子供に会いたいそう。

 そこでこの町を作った人や孤児院を作った人がニホン人っぽいらしくこの町で宿を経営しながら情報を集めてた。

 冒険者を雇い異世界人っぽい人を探して貰ったり、少しでも痕跡があれば、現地にも行ってた。

 それでも見つからなかった。既に亡くなっている事が多かった。

 他の国では異世界人っぽい人の痕跡があっても、多分アメリカ人やカンコク人などニホン人では無い人の痕跡だったそう。名前だったり、料理だったりが違った。

 ニホン人の名前があったのはこの国だけだったからニホン人が来るのはこの国だけなのかと思い、他の国を調べるのは辞めた。


 そしてこの町を再び調べたがやはり現在生きているニホン人は居ない。

 そこでニホン人なら気付くと思う宿の名前、カレーの匂いをさせて宿で待つことにした。

 体力的にも精神的にも探すのがキツくなってきたそう。

 その後おばあちゃんはもしニホン人がこの世界に来ても困らない用にする事を考えて、この宿に来たら助けてあげてほしいと言うようになった。



 母も亡くなり、私が継いで10年ぐらいの時に、宿に入って来ていきなり名前を聞いてくる子が居た。

 今まで宿屋をやっててそんな人は居ない。

 名前を答えるとあきらかに落胆している。

 何だったんだろうね?知り合いに似てるとか言ってたけど名前確認しなきゃ分からない知り合いって居ないよね?と旦那と不思議がっていた。

 その後夕食時に『夕飯はカレーじゃないんですか?カレーの匂いがしたからカレーだと思っていた』と言われ動揺した。

 慌てて厨房に行って旦那にカレーの事聞かれた事を伝える。

 旦那もおばあちゃんがニホン人を探してることを知っているが、まさか現れるなんてと動揺。

 カレーと言う言葉を知っている人はこの国には居ない。

 匂いでなんの匂い?と聞かれることがあっても代々伝わる秘伝の料理だから名前も無いんですよ。ってずっと言ってた。

 これは、絶対本人に聞かなきゃと奥の個室へ案内した。

 そして頭を振り絞りおばあちゃんから聞いたことのあるニホンの話を思い出し何個か質問したが、やはりニホン人だった。

 おばあちゃんがニホン語で書いた本を見せたら読みながら泣いていた。

 お母さんも私も内容は分からない。聞いて良いのかも分からない。



 おばあちゃんが探してたニホン人が遂に来た。

 やはりニホン人はカレーを知っているし、シュンカシュウトウも分かる。

 助けてあげてと言っていたが、いざ来ると何をしていいか分からない。

 様子をみながら慎重にその時の相談に乗ったり、この国での当たり前を教えないと。

 

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