第二話 転生
魔法を使える様にしてもらってからというもの、
俺はいろんな魔法を試した。
魔法は呼称が大事だそうだ。
体に覚えさせた魔法を言葉にして引き出し、
魔力を媒介として、具現化させるらしい。
難しいが、俺は熱中した。多分1時間ぐらい。
「はぁ、もういいでしょう。遊びはその辺にして下さい。
私も大変なんですよ。これからあと10万人ぐらいの人と会わないといけないし、疲れるんですよ。
あなたとの時間を多めに取っているのもあなたが可哀想な死に方をしたからであってですね……」
彼女の話、というか愚痴を聞いた。
彼女の愚痴を聞いていると、彼女の正体が判明した。
彼女は女神らしい。生を紡ぐ女神モイラ。
大変なんだなあ。というかいるんだ。女神。
もう他で驚きすぎてそんなことでは驚かなくなっていた。
モイラは5分ほどの絶え間ない愚痴を言ってから正気を取り戻したのか、深呼吸をし、あらためて険しい顔で俺に問いた。
「では、選んでください。
魂となるか、転生するか、無に帰すか。」
無に帰すというのは置いておきながら考えた。
魂になってみんなを見ながら暮らしてみても良いと。
でも、それって幸せになるのか?
俺が死んだことをみんなは少しは悲しんでくれているかもしれない。
けれど、その後は皆俺のことを忘れる。
なぜ?こんな友達もいて、彼女もいて、何もかも上手くいっていそうなリア充を何故忘れるか?普通。
その理由は忘れてしまうからだ。簡単なことだ。
それに千広は違う誰かと付き合うかもしれない。
もう彼女に関しては吹っ切れたつもりだったが、
本当はそうではないらしい。
俺は誰かと付き合う彼女を見たくは無い。
そう考えると考えはすぐまとまった。
「決めた!俺、転生します。」
「分かりました。ではすぐに転生しましょう。
ちなみにどの地球に行くかは私にも分かりません。
もしかすると元いた地球に転生するかもしれませんが、
とても危険な地球に生まれ変わるかもしれません。」
俺は覚悟を決めた。
「大丈夫です。今度は寿命で死んでみせます。」
モイラは笑った。
「転生魔法」
モイラがそう言い放った瞬間
俺の下に魔法陣が現れた。
体が消えていく。そしてモイラは最後に、
「ここであった記憶はすべて消えます。
もちろん前世の記憶も。
また1からのスタートです。では、頑張って下さいね。」
モイラからの応援を受けた俺はまるで初めてジェットコースターに乗るかのような緊張感に包まれていた。
体が全て消えた時、
視界が急に真っ暗になり、何も感じなかった。
転生するまでの時間は長い様で短く、生きているのか死んでいるのか区別できなかった。
第一章 リア充転生 〈完〉




