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p.3

 膨大な量の資料を読み解き未来を予測できる者、高性能なシステムを組み上げられる者、一度の学習で多言語を習得できるようになった者、感覚が研ぎ澄まされ、それまで見えなかったものが見えるようになったり、聞こえなかったものが聞こえるようになった者たち。


 その突然開花した能力を持った者たちは、何故かこぞって数字の研究を自主的に行こない、国へと上申していた。余りに膨大かつ綿密な研究成果がいくつも提出されるので、いつしか彼らは学歴に関係なく、国が認める数字の研究チームとして纏められていた。


 優れた能力を最大限に活用し、ある者は数字の声を聞き数字とコミュニケーションを図ったらしい。またある者は、空の随分と高い位置に謎の惑星を目視したとか。


 そして、高スコア保持者たちで結成された研究チームは、ある日、とんでも無いことを発表した。


 数字はこれまで私たちが見えていなかっただけで、人類がこの星に誕生した時には、既にこの星に落ちてきていたのだと。そして、これまでも私たちは気づかぬうちに数字を体内に取り込み生活をしていたのだと。


 この研究チームの発表に皆は驚いたが、既に体内に取り込んでいても特に影響もない代物だと分かっていたので、民衆はパニックを起こすことなく冷静に発表を受け止めた。


 その後も、研究チームはものすごいスピードで次から次へと数字についての研究成果の発表を行なった。


 例えば、これまで未確認であったが数字でできた天体の確認に成功したとか。空から落ちてくる数字は、その天体から落ちてきているとか。数字は値の小さいものほど、空中の低い位置に漂っており、人に吸収されずに年月が経過していくほどにその値が大きくなり、空中の高い位置に棲息しているとか。


 そんな次々と明かされる数字の生態に人々はさほど興味を示さなかったが、それでも、彼らは数字に関するどんな些細な情報でも民衆に逐一開示し続けた。


 しかし、どんなに研究成果を発表しても彼らの研究は始めのうち見向きもされなかった。その理由は、明確だった。民衆は、彼らの研究チームが学歴不問で結成されていることを知っていたからだ。学歴社会において、学歴不問で作られたチームの研究発表など、見聞するに値するのかという意見が根強く残っていた。


 だが、学歴社会上位者と高スコア保持者の能力差は一目瞭然であった。彼らの能力を目の当たりにしていた国は、ある時重大な決定を下した。


 学歴社会の撤廃だ。

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