転生の女神の筋書き通りに魔法の才能を開花出来たので、悪役令嬢を踏み台にしてハッピールートを進む?
悪役令嬢が登場する話を書いてみたかっただけの短編です。
真っ白な空間に漂っている。きっと私は魂なのだろう…元の名前も覚えていない。
目の前に若くて綺麗な女性が現れた。
「初めまして、転生の女神アダと言います。これから貴女は転生していただきます。元居た世界での中世に魔法とモンスターが居る世界と言えばわかりやすいかしら」
「……」
(名前も覚えていないのに、前世の記憶もあるはずがないじゃないか…貴女と言われたということは女性なんだ…)
「転生した先では、貧しい家庭に産まれます。何があっても耐えて下さい。虐め、嫌がらせ、両親からは愛などもらえない生活が続きます」
(今の説明を聞いて、転生をやめるって選択は出来ないのだろうか…いいことなど何もない苦行じゃないか…)
「生まれつき魔法の才能だけは持ってますが、15歳まで開花しません。開花後は実力が直ぐに認められて16歳になると魔法学園に特待生で入学します」
(おっ!いい展開になるシナリオなんだ)
「これだけは、忘れないで下さい。魔法学園の入学式に特待生代表として挨拶をします。それを快く思わない王子の婚約者の悪役令嬢のアンカーが意地悪をしてきますが、決して逆らわないで下さい。アンカーの悪役令嬢の姿に幻滅した王子が助けてくれ、ハッピールートになっていきます。ここから先は、実際の人生が楽しめるようにネタバラシはしません」
(それなら16歳まで耐えてハッピールートを楽しもうじゃないか!)
「転生を開始してもよろしいですか?」
「はい」
ー。ー。ー。ー。ー。ー。ー。ー。ー。ー。ー。ー。ー。ー
私は、どんな虐め、嫌がらせ、両親からの産まなきゃよかった的な接され方も耐えた。
ハッピールートが用意されていると思えば耐えれるもんだ。
転生の女神アダの言う通り、15歳で魔法の才能が開花した。
16歳になり、特待生で魔法学園に特待生として入学した。
ここまで長かった。
特待生代表のスピーチが終わり席に戻ろうとすると…
学園にも関わらす煌びやかなアクセサリーを見にまとった女性が近づいて来た。
(キタキタ!ここから、ハッピールートになるんだね、さあ!どんな罵声でも受けよう!)
「私は、アンカー。」
(うんうん、その名前、忘れた日など一度もない!)
「素敵なスピーチでした。わたくしも、貴女のように努力して追いつけるよう魔法学園で努力しますわ!これからよろしくお願いしますね」
「アンカー。令嬢である貴女が一般市民からの特待生に対して、リスペクトするなんて、婚約者としても嬉しい。」
「えっ……」
(意地悪はどうした…私のハッピールートは?)
アンカーが近寄ってきて握手を求めてきた。
私は、頭が真っ白になったまま、握手に応えた。
アンカーは耳元で私に囁いた。
「私は、貴女の半年後に転生してきたの。転生の女神アダの上司になる転生の女神クラニオによってね。ハッピールートは、私に上書きされたの。恨まないでね」
とだけ言って去って行った。
(私の16年間の苦しみ…もうこれ以上は耐えられない…)
主人公だけ、名前が無い嫌がらせを、作者もしてみました。
主人公に名前を付けて、ここからの這い上がりストーリーを読んでみたい方は感想をお待ちしています。