第二十五話 人間が居た。
翌日、そろそろ家に引き篭もってばかり居るのもまずいかと、狩を始めた。
勿論、卵が心配だから、家にはちょくちょく帰って様子を見に行ったりするが。ついでに干からびないぐらいに魔力を吸収される。大体一時間おきぐらいだと思う。
え、過保護だって? いいんだ。この世界、随分と物騒な世界だからな。命の価値が軽いから仕方ないんだ。
朝から出掛けて五回目の帰宅途中、
何か大きな気配を感じた。
あのボスオオカミより強いのが一つ、補佐オオカミぐらいのが一つ、ヒラのオオカミぐらいのが二つだな。
警戒対象に認定した俺は、と《気配隠蔽》と《隠密》をかけ、近寄って遠目に見る。
そこには見覚えのある直立二足歩行の生物がいた。
人間だ。
しかもこいつら武器を持っているな。
ボスオオカミぐらいの男が長剣を持ち、
補佐オオカミぐらいの男が短剣を二つ、
ヒラのオオカミぐらいの女は弓を持っていて、
もう片方の女は杖を持っている。魔法を使うゴブリンの杖をパワーアップさせた様な奴。
皆人間だ。エルフとか獣人みたいなのは見当たらないな。
幸いこっちには気が付いていない様だ。こちらとは違う方向を向いている。
お、なんか喋っているな。
ちょっと聴いてみるか。
「#%△*£●◉§@=\♢〒※」
え?なんて言ってるの?
「□¥〜#-^>+&,“/^^,,”〇」
うん全く判らない。
プリーズヘルプミー。
ダーレーカーオーシーエーテー。
・・・・・・
誰も教えてくれなかった。
分かってたが。
まあもうちょっと聴いてみるか。
たかが少し聴いただけで言語をマスターする事は無理だからな。
という訳で、家と人間の近くを行ったり来たりして五時間。
成果がこれ。
「な€ク#@^フ*/%-メ~ど¥に,“?」
「おうご≡:%**£※<がい#〇そ/+>アメ_@?」
「〜*ー¥(:ん…@%に*(+=>^^£€い※]>£!」
「£れさ^]\^&#¥そこ¥@@;!」
みたいな感じだ。因みに言語にもスキルがあって今、俺はレベル2だ。名称は、《ドュルガンド語》だな。
ーーー
ドュルガンド語
ドュルガンド王国を中心に使われる言語。
ーーー
説明は至ってシンプルだな。取り敢えずドュルガンド王国っていう国があるのは分かった。ちょっと行って見たい気がする。出来れば美味しい物を食べたい。
その人間達はゴブリンを狩ったりクティクラを採ったり、していた。因みにゴブリンは狩った後右耳を取っていた。討伐の証明とかに使うのかもな。もしかしたら冒険者なのかもしれない。
ああ、そういえば少し気になる事があった。
杖を持った女、あいつゴブリンに対して魔法を放っていたんだが、その魔法を撃つ前にに必ずブツブツ独り言? を言っていたんだ。何でだろうか。
・・・もしかして魔法詠唱か?
いや、でもな、俺は魔法詠唱しなくても魔法は撃てるしな・・・。
というか俺、魔法詠唱するだけの、言語能力も発声能力も無いからな。
・・・そう言えばゴブリンも詠唱していなかったな。杖は持っていたけれど。
何か違いがあるんだろう。今の所はわからないが種族の違いみたいなのが関係しているかも知れない。
それに詠唱していたら時間が掛かるからこれで良いんだがな。強ければいい。
更に強くなったらそのうち旅をしたい。モンスター狩ながら強くなる感じ。そして美味しい物をたらふく食べる。その為にもレベルアップをしなければ。
やがて人間達が居なくなると、俺は狩りを始めた。
因みに狼に群れを三つほど蹴散らしたので魔石込みでレベルが五つ上がった。
初期はレベルが上がり易くて非常に良いな。
オオカミは探せば結構個体数は居るし、積極的に狩る対象にしよう。
そしていつのまにか新称号を取得していた。
名称は・・・。何これ。俺が犯罪者みたいじゃん。
・・・・・・《追跡者》だって。
俺、変態でも無い健全な鳥なのに・・・。
至極真っ当な鳥だよ・・・?
ーーー
追跡者
追跡行為をし続けた者に与えられる称号。取得すると《気配隠蔽》のレベルが上がる。進化先に影響あり。
ーーー
えっ、これも進化先に影響するの・・・。効果は嬉しいけど素直に喜べない・・・。
進化先が犯罪者予備軍みたいな事にならないよね・・・・・・・?
微妙な気持ちの俺だった。が、効果は大きかった。《気配隠蔽》のレベルが《隠密》と同じく5になった。
ただ、これがあの称号のおかげだと思うとやはり微妙な気持ちになるのだった。




