第二十二話 何かの卵を見つけた。
どうしようか・・・コレ・・・。
俺は今悩んでいた。
目の前の物の扱いを・・・
ーーー
〜遡ること五時間前〜
俺は周辺を探索していた。
今日は俺が生まれた所辺りを探索している。
おっとゴブリングループ発見。数は十二。そこそこデカいグループだな。
お?
なんだ?
何か違和感? というより、気配を感じた。
よく調べると、あるゴブリンの気配とほぼ重なる様に、
しかしハッキリと分かる僅かな気配を感じた。
何らかしらの生命体が居ると判明したので《隠密》と《気配隠蔽》を使いながら様子を見てみると、
そのゴブリン、何かを抱えていた。方向的に向かう先は集落だと思う。
見付からない様に近くに寄ってよくよく見てみると、ゴブリンが抱えていたのは何かの卵だった。
二つあるな。
へー。卵にも気配はあるのか。初めて知った。
食べる気なのか。それとも孵化させるのか。ちょっと気になる。他の卵を見た事無いからな。
しかしめっちゃ小っちゃい。食べてもそんなに腹は膨れない気がする。俺の片足で掴めそうなぐらいだ。
大体、二センチ弱と言ったところだろうか。
気になった俺は、追跡する事にした。
道中、ゴブリン達ははラット(引っ越して来た時に狩まくった奴。)をリンチして仕留めたりしたり、石を拾ったり、草抜いてみたり、枝を集めてたりしていた。
多分今まで見た、進化していない個体のグループで一番まともだと思う。
まあそれでも四時間ぐらい掛かっても集落に着いていない。
理由はグループ全体が、フラフラとほっつき回ってているからだ。
時々集落とは逆方向に行って、おいいぃぃぃ! 集落そっちじゃねえ! 反対!
と、一人で見つかったのかもと思って焦ったりしていた。
如何やら唯の軽度の方向音痴っぽかったが。安心した。
それから三十分。
ゴブリンは休憩? をしているらしく、持ち物を置いて座り込んでいた。
例の卵も置いてある。
狩ったラットに群がっている。うん、卵には見向きもされて無いな。可哀想。親殺しの俺が言える事なのかは知らん。でも向こうから襲って来たから良いんだよ。多分。
その時、
俺のいる方向からは真反対の茂みら気配がした。
何だ。
方向を絞って確認してみる。
一、二、三、、、、十五か。
近寄ってみると、
ソイツらはオオカミの群れだった。
あちゃー。オオカミ来ちゃったか。これは一匹一匹は進化ゴブと同じくらいの気配か。
漁夫の利作戦で行こう。
オオカミ達は包囲する事にしたようだ。別動隊が後方に回り込もうとしている。
少なくともこのゴブ達よりは賢いな。
当のゴブ達はというと、オオカミ達が包囲している事も知らずに、のほほんと休憩している。
危機察知能力低ッッ!
ああいう風にならなくて俺良かったな。
ガサガサ、ガサガサ。
オオカミ側が茂みをワザとならす。
「ゴ、ゴブ!?」
ああやっぱり引っ掛かったか。
ゴブ達は真反対の方向に一目散。
しかし、本命はこっち。
別動隊が襲い掛かった。
ゴブリンは包囲され、あっという間に蹂躙されている。
親切な事にオオカミ達はゴブリンの荷物には手を出さなかったようだ。漁れるな。まあそこまで目ぼしい物は無いけど、一応な。
さて狩ってしまいますか。
オオカミ達が勝利を確信した時、今だ。
まずは群れを指揮するリーダー格から。気配の大きさで判断する。
三体か。リーダーとその補佐、と言ったところだろうか。
まずはこいつらを確実に殺す為、スキルレベルが上がって威力が増した魔力銃をぶち込む。リーダーには念の為もう一発。
過剰戦力かも知れないが、最悪の事態は避けたいからな。
続いて、《ウイングスロー》に各属性の魔力を付与する。
実験も兼ねているのだ。
そしてそれをリーダーが突然倒れて、パニックに陥ろうとしているヒラのオオカミに、多方向から投擲する。
次いでに、ゴブリン達にもトドメを刺していく。
《個体名 なし のレベルが2上がりました》
おう、よし。きちんと殺せたか。よし、実験の結果を確認しよう。
火の方は、刺さった周りの肉が熱が通ってるな。
水は、周りが水で濡れているな。
風は、刺さったところを中心に少し斬られてるな。
おけ。分かった。火と風は攻撃に便利そう。水は後々戦闘に使える様になるパターンかな。
さて、今度はお楽しみの魔石タイム。
下っ端のゴブリンには何も入っていない事が確認されている為スルーする。
目的はオオカミの方だ。
ヒラのオオカミの魔石を食べてしまったので、続いてはリーダー格の三体の魔石を食べる。
好きな物は後で残しておいて、ゆっくり味わいたい派なのだ。
まずは補佐Aの魔石。
レモン味の飴みたいだった
美味しかった。
補佐Bの魔石。
紅茶の味だった。
濃い味でインスタント紅茶でも出来そうだった。
でも濃くても苦くは無かった。
リーダーの魔石。
唐揚げ味。
え。
唐揚げ?
って思った人、マジだよ。
お肉の旨味とジューシーさが表現されてるのだ。
この前の出汁味にも驚いたが、こっちの方が驚いた。
魔石を味わった俺は、ゴブリンの遺物を漁ることにした。
特に目ぼしい物が無い。
あ、
すっかり卵の事を忘れていた。
どうしよう。
そして冒頭に至る。
え、まじでどうしよ。
・・・と、取り敢えず暗くなってきたから家に持って行くか。