溺れてしまって、あっぷるあっぷる!
ひとりの少年が一粒の涙を零し地面を潤した。
一面が砂漠だった地面が涙を起点に水々しさが広がって行った。
水々しさが広がっていくと砂漠だった地面が大海原へと変貌していった。
少年の身体は涙に飲まれ溺れそうになった。
すると遠くから声が聞こえた。
よーく目を凝らすと私くらいの大きさのリンゴが流れてきた。
溺れながらも耳をすませて聴いてみる。
「溺れそうだ!あっぷる。あっぷる。」
どうやら、その林檎も私と同じ涙の被害者だったみたいだ。
目の前まで林檎が流れてくると、それは林檎ではなかった。
林檎の形をした達磨さんでした。
達磨さんは私に寄り添いながら言いました。
「私に捕まりなさい。私は貴方を助けにきました。」
私は達磨さんにいいました。
「見ず知らずの私をどうして助かるのですか?」
達磨さんは私に言いました。
「貴方のハダカがすきだからー!貴方のハダカがすきだからー!」
どうやら私の体目当てだったようです。
しかし、私は助かる宛がありません。
仕方なく達磨さんに御身を捧げました。
すると、どうしたことでしょう!
達磨さんと私はジョグレスし始め進化しました。
その反動で空から雪、霰が降り注ぎ地面は熱々になり水々しさが失われた。
そして、達磨さんの体はジョグレスするとき肌が溶けてしまった。
その時気付いた。
達磨の形をした林檎だったことを。
私たちは一緒になるとトロトロに溶けて大地に広がっていった。
スライム状になった私の目の前に大きな大きなカーテンが落ちてきた。
「なんじゃこりゃー!」
というとチーン!という音ともに、私たちを何者かが何処かに運んでいくのを感じた。
ドン!と音がすると同時に天空から光が溢れ銀色の物体が降りてきた。
そして、外から子供達の声がした。
「お腹すいた!今日はアップルパイだ!やった!」