嗜みとダンディズム
衝動と呼べる激しさは無く
むしろ朝凪のようにおだやかな気持ちで
赤く横たわる自分の姿を思い描いていた
散歩でもするように軽い気持ちで
漠然と死ぬ事を考えていた
死後の世界はどうでもいいが
別れを言っておきたい人がいるんだ
きちんとお辞儀をさせてくれたら
終着駅が地獄でも文句は言わないよ
「ありがとう」「ごめんなさい」
心をこめて しめやかに
格好悪いから泣きません
それはレディの嗜みで それは紳士のダンディズム
ハンカチの用意はいいですか?
一歩引いて 優雅にぺこり
それではみなさん 「さようなら」