表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
邪神皇帝腹切くん!  作者: 希紫狼
孫娘と神祇の章
32/34

宇宙人達と大国

宇宙では不平等条約なぞ――当たり前。

~100~


 ロシア帝国の首都であるサンクトペテルブルク近郊のアレクサンドロフスキー宮殿。

 ようやくロシア帝国の地を踏めた腹切くん一行はその宮殿に宿泊中。

 現在、一行は明日の戴冠式に向けての打ち合わせをしている。



 一方、地球マルケルデ総督は同宮殿内の仮執務室内で、ギーガー大佐から――

「閣下。若干準備不足な面もありますが、ロシア帝国の戴冠式が予定通り可能です!」

 これを聴いた総督は「何とかなったか……」とホッとして――

「戴冠式は予定通り実行する! 任務続行と各部隊に伝えるのだ!」とギーガーに命令。



「やれやれ……。こんなに忙しい総督府ところは久しぶりだな。

 これなら傀儡ペット身分ほうがまだマシ――」という総督の呟きを……。



「閣下、次の案件です。全て、大国の高等弁務官事務所ハイ・コミッションからです!」

 ギーガーはこの台詞セリフと共に、大量の書類で総督の言葉を遮った。

 その厚さ――三(せんち)程度……。


「……」

 自身の決裁を必要とする大量の書類に対して、総督は絶句するのみ……。

 その時の総督かれの仮面の奥の表情は、総督かれ自身も知らない程に――無。



~101~


 先の話の続き。――絶句するだけではらちが明かない。と悟った総督。

 自身の目の前に差し出された大量の書類の内、一番上の書類を手に取って確認する。


「えっと……。これは大国せんぽうに貸す租借地ところの分だな。

 バイコヌール、ディエゴガルシア、グァンタナモ基地の三地域みっつ

 これは侵攻前まえからの協定通りだな」


 この総督の台詞通りに、宇宙人達と大国は同盟関係にある。

 しかし、その関係の本質は、大国あちらが主で、宇宙人達こちらが従。

 故に、“余程の理不尽や不当”ではない限りは、大国あちらに従わなければならない。


 なお先の三地域の租借の代償は、地球マルケルデ内の敵勢力の征伐への協力。

 故に大国あちらは侵攻時から征伐それに協力している。それも積極的に。

 実は地球マルケルデ側の戦死者の九割強は、大国あちらの戦果。

 その真の意図は地球マルケルデ内の労働力を少しでも減らすこと。

 要は宇宙人達かれらが強くなり過ぎないように、人的資源を減らせる時に減らすのだ。


 そもそも大国あちら宇宙人達かれらに同盟を半ば押し付けるように持ちかけたのも、宇宙人達かれらの行動を監視する目的ため

 都合が許せば、宇宙人達かれらの行動にも制限をかける予定つもりだ。



「次は……大国せんぽうに貸す基地の一覧リストか。要確認の書類ものか」


 この総督の台詞にある「基地」の租借の代償も、地球マルケルデ内の敵勢力の征伐。



「これから先は……開港する地域ところ一覧リスト

 この次は……地球マルケルデ対象の“通商条約”関連だな」


 この総督の台詞にある「通商条約」に至っては、不平等条約。

 通商に関しては、地球マルケルデの主である宇宙人達かれらにも容赦ない。


 その内容は下記の通り。

 ・地球マルケルデ内に輸入される大国からの物品に関しては、関税を免除。

 ・地球マルケルデ内では、大国に片務的最恵国待遇を認める。

 ・地球マルケルデ内では、大国の治外法権を承認する。


 流石に宇宙人達かれらの本国(各構成領等)では上記のような不平等条約ことは通じないが、本国それ以外は別。それが大国あちらとの同盟の代償。



 これまでの解説ナレーションの裏で、書類の厚さを一糎まで減らした総督は――

「いいなぁ。傀儡ペットは楽に生きてて……」と嘆息した。

次回予定:再興ロシア帝国の戴冠式に臨む腹切くん。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ