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邪神皇帝腹切くん!  作者: 希紫狼
孫娘と神祇の章
29/34

アンパン戦記

本日二回目の更新。


ある絶望に立ち向かった男のお話は今回で終わります。

~92~


 今回も、宇宙人達に捕らえられた某国の一将兵の日記から、その内容の一部をご紹介。

 ちなみに今回の更新分全てがこれと同じテーマ。


 この収容所に捕らえられて十日目。

 健康的に痩せていく俺の身体とは裏腹に、俺の精神はどんどんむしばまれている。

 今日の悪夢は――顔にモザイクがかかった男性から、自分の顔面にアンパンを叩きつけられる夢だった……。その後を思い出そうとしても、頭が痛くなって思い出せない。

 どうやら体と心がその先を思い出すことを拒否しているのだろう。無理もない……。



 この収容所に捕らえられて十一日目。

 今日の悪夢は――顔にモザイクがかかっているヒーローから殴られる夢だった。

 その際に「ばい菌の兄さん、覚悟!」と言われた。

 何で俺が悪役な上に黴菌扱いされなければならないのだろう……。



 この収容所に捕らえられて十二日目。

 今日の悪夢も――顔にモザイクがかかっているヒーローから殴られる夢だった。

 何かむかついたから、反撃してヒーローの頭部をモザイクごと吹っ飛ばしてやった。



 だが、どこからかモザイクが飛んできて――ヒーローの頭部が復元。スペアのようだ。

 結局、俺は復元されたヒーローに殴られて、宇宙の果てまで……。地球は青かった。



~93~


 この収容所に捕らえられて二十日目。もう俺の精神は限界だ……。

 見る顔全てがアンパンに見える……。見る物全てがアンパンに見える……。



 この収容所に捕らえられて二十一日目。悪夢も酷くなってきた。

 今日は知らない家で、頭部がアンパンで覆われた家族から逃げる夢だ。



 この収容所に捕らえられて二十二日目。もう……本当に駄目だ……。限界だ。

 このアンパンを誰かに……特に宇宙人達かれらに投げつけてやりたかった。

 しかし、そんなことをすれば即死刑。早まるな、俺。堪えるんだ、俺……。



 この収容所に捕らえられて三十日目。

 Anpan, Anpan, Anpan, Anpan, Anpan, Anpan, Anpan, Anpan, Anpan,Anpan, Anpan…….

 気づいた時には、残りページのほとんどが「Anpan」で埋め尽くされていた……。

 あと数ページしかない。いよいよ終わりが近い。この日記にも、俺にも……。



~94~


 この収容所に捕らえられて三十一日目。俺は宇宙人達かれらの隙を見て脱走に成功。

 収容所にいる間は知らなかったが、どうやら……ここは日本のようだ。



 その日の午後に、俺はある民家にかくまわれた。

 その一家は言葉の通じない俺に、親切にしてくれた。

 そんな時に一家の少女が俺に食べ物をくれた。――それはアンパン。



 次の瞬間、気づいた時にはその少女の顔面にアンパンが叩きつけられていた。

 どうやら俺は無意識のうちに、アンパンを彼女の顔面に投げつけてしまったようだ。


 私は何てことを……。何故、皆の頭部がアンパンに見えるのだ?

 何故この世の全てがアンパンに見えるのだ? ああ、全てがアンパンだ……。



 その日の内に通報されて、俺は逮捕された。

 俺はそのまま宇宙人達かれら収容所もとへ連れ戻された。

 その直後の裁判で受けた判決は――懲役一か月。その間、毎食アンパン生活。

 結局、俺は無罪と引き換えに、軍事機密を宇宙人達かれらに売った。

 それは遊撃ゲリラ戦に備えて秘匿されているの予備の秘密基地の場所だ。

 こうして俺の戦いと、この日記が終わった……。翌日から精神科で入院生活だ……。

次回予定:そろそろ腹切くんサイドへ……。

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