アンパン収容所
お待たせしました。
今回と次回に渡って、ある絶望に立ち向かったモブのお話です。
~89~
今回も地球で高評価中の風刺四コマ漫画を文章で紹介。
一コマ目。
昔、「文明」と名付けられた学級を担任していたアメリカ(擬人化)。
当時、この学級には、自身の各地域や各保護国(全員擬人化)が所属。
二コマ目。
時を経て、このクラスには日本(擬人化)を筆頭とする各国(全員擬人化)が加わった。
三コマ目。
そして最近、宇宙人達によって担当していた学級を取り上げられたアメリカ。
四コマ目。
結果、アメリカは「真の文明」と名付けられた学級に所属。
今にも死にそうな老け顔で、担任の宇宙人から「君主制」についての授業を受けている。
そんなアメリカを、“優等生”の日本が嬉々として――
「少ししたら僕達のようにここにいることが楽しくなるよ」と語りかけている……。
~90~
今回は、宇宙人達に捕らえられた某国の一将兵の日記から、その内容の一部をご紹介。
この収容所に捕らえられて一日目。現状整理と記録の為に日記をつけることにした。
書くことと言えば、今日の朝昼晩の三食全て「アンパン(Anpan)」だったこと。
「他の食品が食べたい」と不満を言ったら、
「自軍も苦しい中、頑張ってるんだよ。食べられるだけありがたいと思え!
明日の朝食だけは別の食品が出るからよ!」と怒鳴り返された。
やはり、どの敵にも苦しい事情があるらしい。ならば、そこに希望がある。
とはいえ、どんなに東洋的な美味でも毎食「アンパン」はきつい。
例え、糖尿病の危険が全くない特製激安「アンパン」でもだ。
例え、一日の栄養を手軽に補える特製激安ジュースが付いていてもだ。
この収容所に捕らえられて二日目。
今日の朝食は「白アンパン」。「別」って、そういうことじゃないはずだが……。
それに昨日は、「明日の朝食だけ――」と言っていたような……。
~91~
今回も、宇宙人達に捕らえられた某国の一将兵の日記から、その内容の一部をご紹介。
この収容所に捕らえられて七日目。今日の朝食も「アンパン」。
ここにきて宇宙人達はこれ見よがしに、俺の檻の前で食事してきた。
もうバレていると思って書くが、きっと俺だけが知っている軍事機密が宇宙人達の狙いに違いない。今までのことは拷問だったのだろうが、俺は屈しない。諦めない。
この収容所に捕らえられて八日目。
「あ~あ。今日は即席か~」と不満げにカップ麺を食べている奴を見た。
俺は当然、「アンパン」を片手に――ありがたいと思え! と思った。
この収容所に捕らえられて九日目。
「あ~あ。今日は鶏肉だ~」と不満げにフライドチキンを食べている奴を見た。
俺は当然、「アンパン」を片手に――ありがたいと思え! と思った。
そこへ奴の仲間が一羽の鶏を抱えてやって来て――
「そんなことを言うな。こいつがかわいそうだ」と窘めた。
その鶏は胸のあたりだけがげっそりと痩せているが、元気よく首を動かしている。
詳細は不明だが、どうやら宇宙人達の畜産技術は想像以上に高度らしい。
「ごめんな~」と鶏に謝る奴を見て、俺はこう思った。――勝てるはずがない……。
次回予定:即更新の為、省略。




