大国からの使者
大変お待たせいたしました。
新キャラが登場します。
~84~
一方、腹切くんは以下の国々の戴冠式をハードスケジュールでこなしていた。
ベルギー、ルクセンブルク、デンマーク、スウェーデン、ノルウェー、スペインという順。
また、宇宙人は以下の王政復古された国々の戴冠式も、後日に執り行うことを発表した。
ポルトガル、アイルランド、ハンガリー、アルバニア、ギリシャ、ルーマニア。
加えてポーランド、アイスランド、フィンランド、リトアニア、チェコ。
ブルガリアとユーゴスラビアに至っては帝政が復古されることになった。
そんな地球の総督府に、急報が入った。
宇宙人達の同盟関係にある超々大国である大神国(通称:大国)の外交団が、神の地球降臨に合わせて、地球を訪れるという報だった。
しかし、その外交団は既に到着していた……。それも日本上空に……。
事前の準備が終わったこともあってか、彼らはすぐに日本の地を踏むことができた。
~85~
そして今、大国の外交団の首脳は東京港に降り立っていた。
着水のためにはどうしても海が必要な宇宙戦艦で訪問した為だ。
「平行世界とはいえ、我らが大日本帝国。
こうも帰郷した気分になれるとはな、兄弟!」
隣に男に話しかける、大日本帝国海軍の軍服から紺色のマントを羽織ったの男。
彼はこの地球に赴任してきた、大国からの駐留軍の総司令官。
彼の名は「エゴン・ホーラン(Egon Hohran)」として宇宙に知られている。
彼の顔は原爆によって、ゾンビのように醜く加工されている。
平行世界の大日本帝国出身の高齢者にして、大国の元帥。
「あっ、そ……」
ホーランに素っ気なく返す、大日本帝国陸軍の軍服からカーキ色のマントを羽織った男。
彼はこの地球に駐在してきた高等弁務官(大使級)。
彼の名は「ヨハン・ゴンベルク(Johann Gomberg)」として宇宙に知られている。
彼の顔は包帯で、彼の目はサングラスによって隠されている。
同じく平行世界の大日本帝国出身の高齢者にして、大国の元帥。
「そういえば、兄弟。贈り物はどうよ?」
「安心しろ、既に用意している。足りない分は“ボランティア活動”で補うさ」
このホーランへ回答する際に、ゴンベルクの口から出た“ボランティア”。
これが地球人(非臣民)に更なる苦痛を与えていくことになる。
~86~
東京港に降り立ったゴンベルクとホーラン。そんな彼らを大日本帝国の首脳陣が迎える。
「これは、これは、両閣下! 来て下さり、誠にありがたいのですが……。
総督は只今、欧州の方面に……」
首脳陣からこのように事情を聴いたゴンベルクは気にすることなく――
「そうか、出迎えご苦労。何、ボランティア活動して気長に待つさ!」
これにホーランが「観光する間もないのかよ、兄弟」とぼやくが、
「するなら勝手にしろ」とゴンベルクはまたも素っ気なく返した。
そこへ出迎えの首脳陣の一人がゴンベルクに――
「あの~、ボランティア活動とは、例えばどのような……?」と訊いてみる。
「何、大したことじゃない。先ずは大日本帝国の塵を掃除するだけさ」
察しの良い首脳陣はこれが「粛清」と受け取った。とはいえ、彼らに拒否権はない。
次回予定:大国ならではのやりたい放題。




