鼠たちの追撃 ※風刺画紹介コーナー付
お待たせしました。
またもネズミ回なので、苦手な方は注意して読んでください。
~81~
引き続き、ウラジオストクに在る収容所。
「とにかく、別にしろ!!」と抗議する檻の中の元遊撃隊の女性一同。
彼女達は未だに檻の中に男女混合で放り込まれる天命を受け入れることができない。
中には「こいつらがどうなっても知らねえぞ!!」と同檻の男性達を殴る者もいた。
そんな殴られている彼らを不憫に思った、担当の将校Aは、彼女達に向かって――
「分かったから、怒らずに待ってろ。皺と胼胝が増えるぞ!」
それから数分後に、「何ちゅかー?」とやってきた別の将校Bは……。
鼠がそのまま大きくなった将校がこの部屋にやって来たではないか。
彼は語尾の前に「ちゅ」と発言する部族の出身のようだ……。
そんな将校Bに将校Aが「お前んとこの棟、空いてる?」と訊いてみると――
「予備の檻なら、いくつか空いてるっちゅよ!」
この将校Bの答えに、真っ青になった檻の中の女性達は必死の形相で――
「やっぱりいいです!! やっぱりいいです!! やっぱりいいです!!」と将校達に頼み込んだ。
~82~
ウラジオストクに在る収容所内の取調室。
「何も吐かないね。これ以上、非協力的な態度取ったら分かってるの?」
元遊撃隊の女性に話しかける将校C。
彼女は遊撃隊に協力してくれた組織や人々の一覧表の在りかを知っている。遊撃隊を再起不能にするには必要な情報だが……。
当の彼女は「好きにしろよ! どうせ何も吐きゃしないよ!」と全力で抵抗中。
彼女の抵抗を受けた将校Cは「じゃぁ、好きにさせてもらう」と言って――
「俺。ちょっと取調室まで来てくれない?」と外部の味方と通信して応援を求めた。
そして数分後に取調室に来た味方は……鼠型宇宙人の将校B。
そんな彼に将校Cが女性を指して「好きにしていいよ」と将校Bに促した。
しかし、状況が理解できない将校はB「好きにしろって言っても困るちゅよー」と困惑。
一方、女性は先程の態度を一変させて、涙目になりながら――
「身も心も魂も情報も全て捧げますんで、どうか鼠だけは……」と将校Cに降伏。
これを受けた将校Cは「どんだけ鼠嫌いなんだよ」と呆れ、将校Bに至っては――
「何か、切ないちゅよー」と乾いた感想を述べるだけであった……。
~83~
ウラジオストクに在る某酒場。そこに沿海地方に残った最後の遊撃隊を捕らえた旅団の首脳部が訪れていた。
当然、その店外では護衛の部隊が展開している……。
そして店内では飲酒中の旅団長に向かって、旅団の参謀長が――
「何故に閣下は、あの部隊(仮称:鼠大隊)に突入命令を?」
「実は帝国(ロシア帝国)内の他の方面から、『彼ら(鼠型宇宙人)を見た女性部隊は発狂して、残弾の量を気にすることなく戦う』っていう話を聞いていたんだ。
そこで例の部隊(仮称:鼠大隊)を突入させて、あの遊撃隊の物資切れを狙ったんだけど……。まさか戦うことなく降伏するとはね……」
この旅団長の答えに、参謀長は以下の事実を思い出した。
「そういえば、帝国内で戦うことなく降伏したのはあの遊撃隊だけでしたね」
「言い忘れてたけど、上層部も『彼らが不憫だから』って、このことに緘口令を敷いてるから。発表される日まで、このことは黙ってるんだよ、皆!」
この旅団長の命令に、参謀長を含めた旅団の首脳部全員が「承知しました!」と応じる。
これに先の旅団長の命令を聞いていたこの酒場の店主(ロシア人)も、平然を装いながらも――俺も黙ってよ……。と心中に固く決め込んでいた……。
~風刺画紹介コーナー~
※地球で高評価中の風刺画を文章で紹介。
※諸事情により我々の世界には伝えられないので、ご想像の世界でご覧ください。
・再興された大日本帝国について
…宇宙人達が運んでいる山車。山車の名前は「大日本帝国」。
その山車の頂に乗っているのは、今上皇帝の腹切くん。
そんな山車の一団は、肉塊が混じった血塗られた道を気にすることなく進んでいく……。
次回予定:宇宙は広く、一枚岩ではない……。




