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邪神皇帝腹切くん!  作者: 希紫狼
孫娘と神祇の章
17/34

孫娘

お待たせしました!


非公式タイトル:腹切くん――初めて孫娘に会うの巻き!

~53~


 赤坂離宮のとある一室で、腹切くんの目の前に佇む――十二歳の少女。

 彼女の見た目は腹切くんの若い頃と瓜二つ。その可愛らしい目を除いて……。


 そんな彼女を見て「これが俺の孫娘まごか~」と棒読みで呟く腹切くん。

 いきなり“親”を通り越して“祖父ジジイ”になった腹切かれの心は――空っぽ。

 既に万歳くんから自分の子孫が生まれた事情を聴いた今も、その全てを信じられない。


「大丈夫、義兄貴アニキ。まだ義兄貴は××だから!」

「もういいよ、その話……。ってか俺の孫娘の前でそういうの話すな!」

 自信の弟分である万歳くんに向かって、腹切くんが何故に突っ込んだか。

 読者の方々には申し訳ないが、検閲に引っかかってしまうため詳細は記せない。

 それでも記せることは記しておこう。さっきの少女、腹切くんの“実の孫娘”である。


「おめでたいね、義兄貴あにき。可愛い孫娘まごできて。

 俺なんかマジで天涯孤独ひとりもんだから……。へっへっへ……」

 死人の如き目で、暗く乾いた笑顔をみせる万歳くんに、腹切くんは――

「その目もやめろよ……。マジで切ないし、笑えねえし……」と突っ込む他なかった……。



~54~


「最初は、かなり昔に知り合いの女――研究者と食事した時に話が盛りがってよ……。

 ――あ、研究者そいてはかなりの美人で、今はこいつの祖母ババアな」と平然と腹切くんの子を産んだ女性のことを話し始める万歳くん。

 そんな万歳くんに「ババアが子を産むって大丈夫か……?」と突っ込む腹切くん。

 腹切かれが知っている常識では、女性は三十五歳以上の出産で高齢出産のはず……。


「大丈夫。そいつ不老不死で数千年くらい生きてっけど、体は十代後半だから」

「どんな体だよ……!? そいつ……!?」

「今もスタイル抜群だよ!」

「そうじゃなくて――」

「別の意味なら義兄貴みたいな体かな……。義兄貴は忘れたろうけど、義兄貴も不老不死の民族で、今に至っちゃ一万二千くらい生きてるよ。それと俺も不老不死ね……」

「どんな体と頭だよ……!? 俺……!?」と万歳くんとのやり取りに頭を抱える腹切くん。

 万歳くんの話に理解が追い付かない……。というより何も整理できない……。


「そういえば……どんな話で盛り上がったの?」という腹切くんの質問に、万歳くんは――

「ダメな野郎の遺伝子でも天才のと掛け合わせたらよくなるかな~?っていう――」


 結果――腹切くんの怒りを買ってしまい日本くにを脱出する羽目になった万歳くん。

 腹切くんの怒りが静まって、万歳かれ日本くにに帰れるのに約一か月を要した。



~55~


「はぁはぁはぁ……」と万歳くんが逃げ去った部屋で息切れを起こしている腹切くん。

 そうしている内に怒りを静めた腹切くんが――

「そういえば……そっち……。名前は?」と自身の孫娘まごに尋ねると……。

「のぞみ。希望の『ぼう』の漢字一文字でのぞみ」という答えが返ってきた。


「じゃ、望。孫娘まごってことは、そっちの親――俺の子は息子?それとも娘?」という腹切くんの質問には「息子」と淡々と答えが返ってきた。


 そして「おっ……俺のこと何か言ってた?」とほほを赤らめて、明後日の方向を見ている眼で望に尋ねる腹切くん。君は何を期待している乙女なんだ……。


 結果――「特に何も」という望の返答に「――だよね」と勝手に腹切くんは失望した。



~56~


「あ……思い出した」といきなり呟く望に、「何を?」と腹切くんが問えば――。


「パパ、ジジイのこと言ったことあるよ」と口にした望に、腹切くんは――

「マジで!? 言ってーごらん!?」と全力の笑顔で促す。可愛いのに何か気持ち悪い……。


 結果――「『百パー他人』だって」という返答に「――だよね」と失望する腹切くん。


 さらに――「それと『悪い目つき受け継がなくて最高ラッキー!』だって」返答が。

「――だよね……」とより深く失望する腹切くん。涙まで流れている始末……。

次回予告:たまに仕事熱心になる腹切くん。

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