プロローグ
小説史上ーーいい意味のみで……最低級の作品になることを祈って……。
~0~
腹切臨……年齢不詳の男の娘。めっちゃ女子に恐れられている。
理由は目つき。常に……何かにキレている時のギラギラした目なのだ。
故に女にも好かれない。彼女なんかなってくれるもの好きはいない。少子化社会だもの。
怖いお兄さんと目が合ったら、真っ先に自分が逃げる羽目に……。華奢なんだもの……。
~1~
いかに目つきが悪いといえども――力を入れれば普通の目つきができる腹切くん。
その時の目は“娘”に間違われるほど――かわいい……。
しかしながら、人が常に力を籠めることができるはずもない。
それは腹切とて例外ではなく……力を抜いたら怖い目つきに逆戻り。
それ故に、一時はこの悪い目つき整形も考えたが腹切だが……。
――何故に……天から授かった個性を世間に合わせねばならんのだ!とプライドの面から却下。それと費用面……。
~2~
彼には親兄弟等の家族はいない。親族や親せきすらもいない……。
いるかもしれないが、いたとしても今作品に出す予定は……今のところない。
天命上――彼は基本……天涯孤独である。
今日も行く当てもなく中××の某所で散歩。
「おいこら、紫狼!登場人物考えるのめんどくせえだけだろ!」
今日も腹切の「無視かい!」という怖い声を無視して話は続く……。
~3~
彼には仲間や友達がいるが、孤独を癒すには至らない。基本――独り。
そんな彼には妄想の世界に入り浸る癖がある。妄想こそが孤独を忘れさせる。
妄想の世界の彼は――廟号が『太祖』、諡号が『斌(文武の意)皇帝』、氏が『主』、名は『太麟』、字が『恥雪』という皇帝。
それも地球どころか太陽系を治める君主であり――終身の“神”様である……。
~4~
「ヤババババババッ‼」
プロローグ早々、天に召されている腹切くん!それも自身の肉体ごと、つまり物理的に!
身に走る無重力の感覚に、じたばたと足掻いて焦る腹切。無理もない……。
「あわわわわわっ‼もう終わる‼『腹切くん』もう終わる‼天に連れていかれる‼」
安心するのだ、腹切くん。君が今、連れていかれているのは……未確認飛行物体。
それも円盤状の宇宙船!それもブリキっぽい“ユーフォー”!
この急展開で……おいしく、図太く、ビッグになるのだ!腹切くん!
「俺、芸人さんとかじゃないし‼そもそも今――無職だし‼笑えないし‼」と叫ぶ腹切の目からは涙が……。頑張れ、腹切くん……!これが君の天命なのだ!
次回:絶体絶命の腹切くんの天命は如何に……。




