席を決める1
太郎とダラダラ話しながら歩き、学校へついた。
昇降口で靴を履き替え3階の2-3の教室へ行く。
俺こと新島大輔は16番で縦に6列並んでいる内の黒板側から見て左から3番目の一番後ろの席だ。
太郎は佐藤という苗字で出席番号7番。左から2列目の2番目の席となる。
「そういえば今日は席順を決めるんだっけ」
「フッ……。そうだな。1の刻と、2の刻が刻まれしとき、今後およそ3の月が廻るまでの運命を決める。そう、審判の時間だ……くしゅん」
カッコつけて左手の包帯を巻いている手でマスク、眼帯、ゴーグル着用の顔を覆うようなポーズをしている太郎の話を要約すると、1時限目と2時限目に今後夏休みまでの席順を決めるくじ引きをする。という意味だ。
……太郎の言いたい事が分かるようになってきてるのは、いいことなのか悪いことなのか。
▽
キーンコーンカーンコーン……
「ヨッシャーーーッッ! 席替えの時間だぜぇーーーッッ! 準備はいいか、お前らァーーーッッ!」
席替えだと祭りのように騒ぎ立てているのは、このクラスのムードメーカー……ではない。
不良のDQN生徒……でもない。
そもそも生徒ですらなく、このクラスの担任山口先生だ。しかも女性。
ぶっちゃけ新しいクラスでムードメーカーなんてまだ誰かわからないし、不良だと評判の女生徒はサボっているのか教室にいない。
ちなみに、太郎は授業前に眼帯と包帯を外して、制服もちゃんときている模範生徒だ。
授業中も宵闇の王モードだが、怒られると佐藤太郎モードになって静かになるし。
「「「「はーい」」」」
「声が小せえぞーーーッッ!」
「「「「はぁーいッッッ!!」」」」
「よろしいッッ!」
ここは動物園だろうか?
猿山の猿が一斉に騒ぎ出したような声が響いてる。
「ククッ! 愚かなる人間達は知らなかろう……。己の運命と謳われるものを……。だが、勘のいい者は気付いていることであろう。此度の席順で身の振り方が決まるということを!! ……ヴォッホン……ゲッホケッホ」
「佐藤太郎!! 咳き込むな!! うるさいぞ!!」
「……すみません」
太郎……。
これ太郎の咳より絶対さっきの叫びの方がうるさかったと思うんだけど。
隣の教室の迷惑になってるだろうし……。
そう考えた瞬間……。
「「「ーーふぅぅぅッ!!」」」
フィーィッ!!
隣の教室から得点が決まったサッカーの試合のような歓声。
隣の教室も凄まじく騒ぎ散らかしてる……。
「おー! 隣の教室の奴らも声出してるなぁっーーー! お前らァーーーッ! 負けられねえぞーーーーッ!」
いや、席決めるのに大きな声は必要ですか?
先生。