マーガレットの料理
庶民のごちそう
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夕食の時間になりヤマトが宿の食堂に行くとメルドワが赤い顔で手にした木製ジョッキの中身を楽しんで
いるそしてヤマトに気がつくと手招きで自分の向かいの席を薦める周りを見たヤマトが唯一空いていたそ
の席に座ると
「ここは人気だし村で唯一の酒場なんでいつもこんな感じなんだ」と言って通りがかったマーガレットに
「俺にエールをもう一杯もらえるかそれとヤマトの食事も頼む」
「メルドワにエール追加とそれと彼の食事だねまかせておくれ今すぐに用意するから」と言ってキッチン
にマーガレットがいくと
「期待していいぞここの飯は反則なほどうまいからヤマト」
そう言ってメルドワが笑うとまもなくヤマトの食事を持ってマーガレットが現れる
「おまたせパンとスープはおかわりできるから足らなかったら言ってね」
そう言ってヤマトの前にパンの籠とステーキと具沢山のスープの皿を置くとメルドワのジョッキにエール
を注いでくる
そのわずかの間にも我慢できずにヤマトはうまそうな香りを放つステーキをナイフでそっと触れる程度で
簡単に切れてしまうその一切れをフォークで口に運ぶと肉が解け肉汁をあふれさせる軽い塩気それだけな
のに味は極上むしろほかの味付けなんているのかと疑問思えてしまうそんな一切れだった
半分まで切って食べる無心に繰り返していたヤマトにメルドワは
「ヤマトそのままでもうまいんだが試しだと思ってパンと一緒に食べてみな別物になるから」
そう薦められて一旦ステーキを切る手を止めると籠のパンに手を伸ばす見るからに素朴な作りのそれをま
ずはそのまま一かじりした途端口に広がる小麦の香りと旨み改めて見直してしまうほどだった
してやったりと笑うメルドワ
「パンだけでも美味いだろそれに一緒食べてみな」
言われるとおりに一切れをパンにはさんでかぶりつくと考えるのが無駄頭に浮かんだだの一言美味いだけ
だった後はステーキがなくなるまで食べるだけ気がつけばステーキは食べ終わり見た目シンプルな具沢山
な野菜スープにそのままの流れで手を伸ばそうとしたときまたメルドワが
「お前はステーキの〆の一皿だと思っているだろうだがこの宿の飯で一番反則なのはそのスープなんだ
よ」
とぼそりと一言
ヤマトが言われるがままスープ皿のそれを一口
「たしかに美味いでもなんで反則?」と首を傾げると
ヤマトの様子に笑みを浮かべるメルドワ
「それな具は季節によって変わるんだがマーガレットによると鍋に切った野菜と水を入れて煮込むだけだ
そうだ」
「うそですよねまさかそれだけなんて」
「そう思うだろでもそれだけなんだなのに美味いものなってしまうんだこれが」
ヤマトVSゴブリン
次回一宿一飯の恩義と最初の絶望