戦場に降り立った希望
ヤマト復活そして援軍も到着
15
王都の城壁にヤマトと友人達が現れる驚く冒険者達に微笑むと
その中の二人に
「露払いを頼めるか?」
そう言うと二人はうなずくと
「マナキャスターユウジ、召喚士エリナ、友が為力を振るわん」
天に手を掲げ「うなれ疾風轟け稲妻ヴォルテクスハリケーン」
地に手を向けて「我望む紅蓮の獅子よ氷雪の銀虎よわが元にとく来たりて我が敵をうて」
二人の声が響くと押し寄せる敵を巻き込み竜巻が幾本も立ち上がり辺りへ稲妻をまき散らしながら戦場を
走り回り敵をなぎ払い、エリナの前に現れた獅子と虎がエリナの呼び声に答えるように一声吼えると左右
に分かれ敵に襲い掛かる獅子に襲われれば炎に包まれば灰と化し虎に襲われれば一瞬にして氷柱と化して砕け散らされた
駆け出そうとするヤマトを制して次に控えしは
「剣聖流師範ジョージ・正岡、槍聖流師範ジェイク・加藤われらの妙技御覧あれ」
先の二人が敵から奪い取った隙間にふわりと降り立つと獲物を抜き放ち押し寄せる敵を切り伏せ次々に貫
いて一撃で止めをさしていく敵にとって彼らの前に立つことはギロチンに首をさらすのと同じになってしまっていた
邪神の命とはいえ本能的にそこを避けていく流れに押し寄せる勢いが阻害されていく
そこへオーガとトロールが到着し前をふさぐ味方をなぎ払いながら前へ王都に向かって前進すると
「鬼さん鬼さん遊んでおくれ」
ひときわ幼さが残る少女がジェイクの肩にふわりと降りた後オーガに笑みを浮かべながら敵の上を飛びわ
たって向かっていくと
あわてて声をかける冒険者に
「大丈夫、鬼姫紅葉の近くに来ると危ないよだから遊びが終わるまでこないでね」
にこりと笑みを浮かべながらそう答えるとオーガを蹴り飛ばす
オーガは身を固め受け止めようとするのだが勢いに押されて後ずさりさせられてしまった
紅葉はにこりと笑みを浮かべると
「おおすごいすごい耐えられたんだ一回で終わりかと思ったのに」
これを嘲りととったのかオーガはみるみるうちに赤くなると吼える
「ふふ馬鹿にされてるってわかったんだでもね紅葉のほうが怒ってるんだから」
そういいながら脇から襲い掛かってくるオークたちを振り返りもせずにかわすと後頭部をわしづかみにし
て手当たり次第にオーガに投げつけると
「ヤマトお兄ちゃんを私から取るなんて許さない」
そう言うと紅葉はその幼くさえ見えるその体から凶悪とさえ感じられる気配を解き放ちオーガに襲い掛かる
「ふふ紅葉ちゃんたら張り切ってるわね」
「そりゃそうでしょう、両親さえ投げ出したあの子を包んでくれて友達との絆を築かせてくれたヤマト兄
ちゃんのためだもん」
「そうねこっちも負けていられないか行くよ茜」
「おうともさ椿ちゃん」
「「弓聖流弓術奥義」」
「「星落とし」」
そう言うと茜と椿は身の丈ほどもある大弓を引き絞り空に向かって放つ矢は一度空に消えると炎をまとっ
た星となって駆け下りると下にいたモンスターたちを大量に飲み込んで燃え上がる
火と煙が晴れたそこにはぽっかりと大穴が開いていた
「ちょうどいい穴ができたあんたなんか穴の中で寝てるといいわ」
そう言ってぼこぼこにしたオーガを穴の中へ放り込む紅葉
それを城壁の上で眺めていた老人は
「おいおいこの老いぼれにも相手を残してくれんかのう」
そう言うと老人は執事でも呼ぶかのように手をたたくと
「シスターズ礼儀のなっていない客だお帰り願え」
老人の周りに魔方陣がきらめくと精巧なオートマタが現れ手にした武器をふるう
彼こそは異世界にその人ありと歌われた錬金術師にしてドールマスターシュワルツである
魔力のない地球に事故で飛ばされた彼を最初に面倒を見たのがヤマトだった
どう見ても怪しさしかない自分を快く迎え入れ生活のすべを見つけてくれたヤマトに恩を感じていた
本来ならば今回こられるはずではなかったのだが彼がもといた世界もまたこの世界であったので帰還することがかなった
「ふふ人生とは面白いのう戻れぬとあきらめていたこの世界にこうして戻ってこられるとは思いもせん
かったは礼を言わせてくれ青年ありがとうこの老いぼれに愛するこの世界を拝ませてくれた残りの寿命と
引き換えたとて悔いはないぞ」
そう言うと力を取り戻したアイテムボックスの中からいくつか素材を取り出すと
「エリクサー練成」
そう言うと無造作に同じくアイテムボックスから取り出した甕の中に放り込む甕から光が放たれ甕をエリ
クサーが満たす
あまりの光景に唖然とする冒険者達にとりだした柄杓で貴重なはずのエリクサーを降り掛けると
傷付き死を待つばかりだった冒険者が力強く立ち上がる
「どうじゃわしのエリクサー効くじゃろ、もう一はなさかせんか?」
シュワルツの誘いにうなずく冒険者たちは武器を手に城外へ飛び出していくと戦列が乱れている場所に襲い掛かる
そのときだった城壁のヤマトの元にあの笑い声を響かせながら黒い塊が空から一直線に降り立つ
「見つけたわよ忌々しいあの爺の加護を受けた人間」
さあいよいよ舞台はクライマックス邪神VSヤマト
次回希望VS絶望




