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4刀、テンプレスルーの木刀使い

遅くなってすいませんでした。


前回のあらすじ


軽い初恋を失恋した主人公は自分の同郷と思われる少年のテンプレに出会う。

俺は感激していた。

元の世界でずっと読んできたありふれた物語(テンプレート)の一項目、『ギルドでの絡まれからの実力を見せつける』が目の前で行われているからだ。

五メートル位の間を開け黒髪の十六歳位の少年、まあこの世界でいうところの成人と三十歳位のおっさんが睨み合っている。

先ほどの煽りに対し少年が何かを言い返すように口を開く。因みに少年はイケメンだった。



「は? 何故お前が俺の実力を知っているんだ? 新人潰しする事しか脳がない雑魚は黙ってろよモブ。俺も驚いたよいきなりテンプレが起きるなんてね。でもこの程度奴なら別にどうでもいいか」


黒髪の少年は中々辛酸な言葉を吐き捨てる。少年に絡んでいるおっさんも沸点が低そうでもう完全にキレている。多分あいつは俺と同じ転生者(転移者)だと思う。

にしてもいすげー痛い事言っているぞこいつ。『雑魚は黙ってろ』とか、なんでお前がそのおっさんの実力知ってんだよ。などなどツッコミたい事はいくつかある。


おっさんに関しても誰がどうしようが勝手だろ、なんで他人にここまで関わるんだよ......は!! もしかしたらおっさんはいい人でこれから死ぬ危険を犯す人を助けようとしているのかもしれなーー「テメーぶっ殺してやる」そんな事は無かった。

おっさんが殴りかかる。流石に背中に背負っている重そうな両手斧は使わないようだ。

しかし、周りの人達はおっさんがまだ、一般人の少年に殴りかかった事に驚いているようだ。


「死ねぇ!! 」

おっさんのパンチが物凄い音を立てて少年の顔面に届く。日本人が見れば少年は吹っ飛ぶと考えるだろう。

だが、この世界ではステータスが全てだ。おっさんが急に後ろに倒れる自分が持っている斧の重さに耐えられなかったようだ。

この世界ではステータスの犯罪履歴に罪状が描かれると書かれた者は罪状によって違う期間ステータスを封印され、体力を除く全能力が元々のステータス関係なく5以下にまで落ちる。

だからこの世界に山賊はいない、このステータスの表示は女神が設定した物なので人間の価値観関係なしに発動するのからだ。

ただし、冒険者間だと喧嘩とみなされ、発動しない。だから路地裏で出会ったあの子はめんどくさい事になると言ったのだ。かの喧嘩、実は俺も危なかったりする。

このトンデモ技術が日本にもあれば俺は殺されなかっただろう。


まぁ正当防衛のケースもあるが、今回は一般人の少年を冒険者が殴ったので暴行あたりの罪が追加されたのだろう。

だからこそ、この世界の住人は犯罪を基本犯さない。でもあのおっさんの目は血走っていた、多分あの少年は精神関係の何かではないかと予測される。


少年が何か倒れているおっさんを煽ったり、少年に濃い緑色の短い髪を持った十歳くらいのエルフっぽいロリッ子が駆け寄ったりしているがスルーだ。テンプレを少しは見ることが出来たし、これ以上見ていても自分の事は進まないので取り敢えず人混みを抜け、人が集まっていない一番端っこの受付に向かう。



「冒険者登録をしてもいいか? 」


俺はそう言いながら銀貨を一枚払う。金がかかる事は分かっていたのですでに払っておく、登録費用は日本円に無理矢理照らし合わせると約五千円だ。

受付にいた少女はどう見ても小学校六年生くらいの見た目しかしていなかったが、わざと見えるようにしているその尖った耳からこの少女? がエルフということがわかる。

やっぱり容姿が整っているが俺はロリコンでは無いので特に何とも思わなかった。


「はい、良いですよ。ところで文字って書けますか? 」


これは文字をかけるかによって受付が用紙に記入するか、自分で記入するか決まる。尚ここで使った紙とインクは登録料金に入っているらしい。


「文字は書けますよ」


常識のおかげで文字の読み書きも出来るし羽根ペンも使える。これはすごくありがたいことだ。


「では、こちらの用紙をお書きください」


そう言って紙を二枚渡してくる。

渡された紙を確認すると、一枚目にどの枠に書けばいいかが書かれていて二枚目に記入するらしい。

どうやって印刷しているのか気になる。全て手抜きだったりするのかもしれない。

まるでテストだなという感想が出てしまった。



『 』の中は主人公が思っている事です。記入しているのは〈 〉の中です。



一、名前(偽名不可)・・・・〈 ツルギ 〉.......『このマスは全て少し大きめに作ってるようだ』


二、出身地(書かなくても可)・・〈 〉........『嘘ついても仕方ないしな』


三、歳 (絶対記入) ・・・・〈18 〉.......『なんでこんな事が絶対記入なんだ? 〉


四、特技(書かなくても可)・・〈 〉....『特にないかな』


五、使用武器(書かなくても可)・・・〈木刀 〉...『伝わらなそうだよな』


六、技の特徴(絶対記入)・・・〈打撃〉......『なんだろ? 依頼の紹介とかかな? 」


七、動機(書かなくても可)・・・〈この仕事位にしかつけそうにないから〉.....『知識チートとか無理、まだ命貼る方がマシ』



よし、これで全て書き終わった。


「書けました」


俺は紙二枚を差し出す。


「ちゃんとかけてるわね。カードが出来るまで少し待っていてください。冒険者ギルドからは出ないでね。出来れば受付の近くに居てくれるとありがたいわ」


俺は待っている間さっきのテンプレが気になり見に行ってみる。


あの少年はロリッ子といちゃいちゃしながらおっさんの身ぐるみを剥いでいる。正直酷すぎると思うが、誰も助けない。これが異世界だ。いや日本でも同じようなもんか。


その時透き通った声がギルド内に響いた。


「さすがにやりすぎ、そろそろやめなさい」


そこにいた彼女はーー「おい、あれって『水火』のアルンじゃねぇか? 」

ーーさっき路地裏で会った彼女だった。

にしても水火ってなんだ?


「水火ってあの最近ぐんぐんランクを上げている美人魔術師か!!? 」


おっと、説明ご苦労。

どうやら俺は初恋の人にほんのすこしだけ縁があるようだ。








読んでいただきありがとうございます。


誤字脱字教えていただけると幸いです。

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