潜水開始
初投稿です。
まったりお楽しみください。
皆様は散歩は好きだろうか。僕は大好きである。日本一散歩を愛する者と言っては過言があるかもしれないが、僕は本当に散歩を愛している。
早朝、清閑な住宅街を歩くのも良し、昼、人混みで賑わう駅前を散歩しても良し、夜、日が顔を見せている時間とは、また違う姿を持つ街へ探検に出掛けるのもまた良し。
――――そして、喧騒から隔離された路地裏に入るのは、さらに良し。
路地裏という空間にどんなイメージを抱いているだろうか。
暗い、怖い、怪しい、というイメージを持つ人も多いだろう。路地裏に対してそういったイメージを持つのは当然だから――――人は路地裏を避ける。
路地裏を避けるから大通りが栄える。
大通りが栄えたから路地裏から人が消える。
鶏が先か卵が先かみたいな下らない永遠の謎である。
しかし、長崎県の軍艦島等を例に挙げると、人の手のつかなくなった場所ほど、そこには神秘とか不思議とかが宿る気がする、これは廃墟探検家と同じ心理なのかもしれない。
路地裏は、大通りの裏側、正反対の空間。即ち、路地裏にはその街が持つ裏の顔が隠されているのである。
路地裏は、鏡のように街の真の姿をそのまま映し出す。
僕は嘘をつかないそんな空間が、どこよりも大好きである。
そして今日も、私はこの街の裏側に入る――――――いや、この暗く深い場所には、それは不適な語かもしれない。
訂正しよう。
そして今日も、私はこの街の路地裏に『潜る』のだ。