3.モブをレギュラーキャラに昇格させる。
荻堂一真と離れるため、幼稚園を変えました。
今日が、その初日です。顔だけの男の子に誤魔化せられない女の子がいることを願うばかりです。
初日で、私を見て信じられないと声をかけてきた女の子がいました。
「神無月愛梨じゃない!なんで、荻堂一真と一緒の幼稚園じゃないの?」
「ヤツが私に大怪我をさせたからです」
「でも、『ひも』の神無月愛梨はそれでも、荻堂一真と一緒にいたわよ。あなた、ひょっとして転生者?」
「ゲームでの彼女の頭は湧いていますよ。アレでも一緒にいるなんて、正真正銘のMですね」
「それ、分かる。私もそう思ったわよ」
「精神年齢【以下自主規制】でも、アレは許せなかったんです」
「なるほどね。精神年齢【以下自主規制】なら、すぐに逃げ出すわよ。そうだ、自己紹介まだだったね。私は、森川まどか。転生モブよ」
「飛んで火に入る夏の虫とは、このことですね。今日から、まどかさんはモブではありません。運命共同体です!」
「やってしまった」
そうして、彼女はヒロインの親友というやりたくもない役に昇格しました。
彼女は、頭を抱えてうなり声をあげました。
「諦めて下さい。私の前で転生モブと名乗ったのが運のつきです」
「前世からのうっかりミスが治らなかった...」
「こうなったら、乙女ゲーム転生の定番、『ヒロイン乗っ取り大作戦』をしてください」
「イヤよ! 特に、荻堂一真は大っ嫌いなキャラだったのよ」
「私は、ヤツのルートでディスクを叩き割りました」
「なんで、前世の私と同じことしてんのよ」
「あのルートではやらずにいられません。後で、買い直しましたが。手痛い出費でした...なら、どのキャラが好きだったんですか?」
「俺様男の大道寺光輝よ。愛梨はどのキャラだったの?」
「大道寺さんの親友の雲瀬直樹ですね」
「攻略対象じゃないじゃない」
「実際に攻略対象を好きになるとは限らないですよ。私にとって、彼らは完璧な対象外ですから。今となっては特大に、荻堂一真が」
「なんとなく分かる。実際にアレはないわよね」
「はい。後は、鳳凰院未那を取り込むだけですね」
「なんで? 頭のおかしなライバルキャラじゃない」
「現在の愛梨は、荻堂一真を嫌っているんですよ。彼女を味方にして、馬鹿を押し付けるんです」
「愛梨に協力しなかったら私はどうなるの?」
「馬鹿をラッピング包装にして押しつけてあげます」
「絶対にいらないわよ。そうだ、大道寺光輝を私に押し付けて」
「了解です」
「やった! 約束よ」
大道寺光輝は家訓により、婚約者がいません。大道寺家の者なら、大道寺家に相応しい相手を自力で見つけてこいということです。婚約者なんて家同士のメリット重視の関係なのに、相手が必ずいると胡坐をかいて相手のことを疎かにするのはダメだとか。
こうして私は、自分の盾となる協力者を良好な関係で一人得ました。