最終回.願い事は聖なる夜に
文化祭を終えたその日から、荻堂一真は鳳凰院家に住むことになりました。
鳳凰院家のそして、未那さんの婚約者として相応しくなるべく調教と教育を施されることになったためです。
今日も今日とて、葛城さんに送迎という名の連行をされています。
毎回、荻堂一真は逃げようとするのですが、その度に鳳凰院家の者たちに逃げ道を塞がれ、鳳凰院家に大人しく向かうことしか許されません。こういう時こそ、荻堂一真の学習能力が感じられない単純馬鹿さ加減がお役立ちです。本人的には、嬉しくないでしょうけど。
私は、鳳凰院家での調教と教育を完了させるまでは単純馬鹿のままでいて欲しいなと思いました。
荻堂一真が視線で助けを求めてきましたが、無視です。それが、当然です。
私が天敵を潰す機会をみすみす逃すはずないじゃないですか?
どうやって、私が自分のことを好きだと思い込んだのか訊いてみたいものですね。もちろん、訊いてみる気はありませんが...
まどかさんは現在、順調に元生徒会長を攻略中です。
はじめは、まどかさんに協力するよう言われたのですが彼女は自力でしています。
確かに、私に協力させるより効率よくできるはずです。
前世は、引きこもりのオタクで内弁慶のダメ人間をサポート役になんてしないでしょうね、普通。いつ、ヒロイン補正が発揮されるか分からないとそういう意味で警戒されていますし。
ですが、荻堂一真を鳳凰院家に売り渡したことで『ヒロイン補正』が破壊できたと思うのです。
実際は、どうなのか私には分かりません。
「案外しぶとく生き残ってるかもよ」とは、まどかさんの談。
まどかさんが、元生徒会長を完全攻略すれば、私は安心して枕を高くして寝ることができます。なので、頑張って欲しいです。
現在、生徒会はまどかさんが『生徒会長』です。
『副会長』は、未那さん。
『書記』は、小篠凛さん。
『会計』は、東京極貴也さん。
生徒会は文化祭後に、次期生徒会に引き継がれました。
荻堂一真が生徒会に残っていないのは、辞職したロリコン教師が選んだ生徒会役員だからです。様々な問題を起こしたロリコン教師が残した不良債権をこのまま生徒会に残しておけないという学校側の考えです。
実は、元生徒会長の大道寺先輩以外の元生徒会役員はロリコン教師が理事長におねだりして、理事長の権力を使い自分の都合だけで選んだと早川先生が微妙な顔をして教えてくれたっけ...
だから、元生徒会長とまどかさん曰く使えない人たちだったのですね。
これは、生徒たちには教えれない真実です。気付いている人は気づいてると思いますが...
そして、12月に入りました。
葛城さんが、「荻堂一真の調教と教育を完了させました」と言ってきました。
ありがとうございます。
今までの暴力暴言、そしてウザさが完全に消えてしまいました。
これでは、『別人』です。今まで通り、近づかないようにしますけど。
それに、なんといっても『私の存在を完全無視』です。
嬉しいです。お祝いしましょう!congratulationですよ!
帰りは、1ホールのケーキを買います!
今夜は、お赤飯ですね!
それに、私の中の『ヒロイン補正の影響力』が消えてしまったのを感じました。
今まで、地図を見ても迷子になっていたのに、それがなくなったのです。
もう、迷子にならなくて済みます。
『ヒロイン補正』が、アレで破壊されたんですね。きっと。
やはり、母に言って今夜の晩御飯にお赤飯を加えてもらいましょう。
1ホールのケーキを買って家に帰ると、雲瀬のおば様がいました。
私を見ると一瞬、「邪魔者が来た」という視線を雲瀬のおば様から感じました。
ですが、次の瞬間にはそれが消えていました。
気のせい?気のせいじゃないような気がする...
母は、それに全く気付いていない。
私が居心地悪くしていると、直樹お兄様が来ました。
私の様子を見た直樹お兄様は、雲瀬のおば様を引っ張って行って何やら言っています。
今日はおじ様が出張なので、家で一緒に夕食をとるようです。
ちなみに、父も出張です。
夕食は、なぜかお赤飯でした。
直樹お兄様は、雲瀬のおば様の様子を見て呆れていました。
夕食後は雲瀬のおば様に居間を追い出され、私は部屋に戻りました。
直樹お兄様は、家に帰りました。
クリスマスになりました。
直樹お兄様とクリスマスデートです。
これで、クリスマス告白と思ったそこのあなた、違います。
前世から変わらず中身が『ヘタレ』の私はできませんでした。
せっかくのチャンスが...!
告白しようとは思ったんですよ?
ですが、その度に見覚えのある顔が邪魔をしてくるんです。
ほとんどが、直樹お兄様と同じクラスの人たちですが。
中には、ニヤニヤ顔の雲瀬のおば様とか焦ったように登場する元生徒会長とか。
数ヵ月後。
直樹お兄様の受験が終わった後、告白されてしまいました。
顔を真っ赤にする私。
「せっかく、邪魔をしていたのに!」と泣き崩れる直樹お兄様と同じクラスの人たち。
それを見て、呆れるまどかさん。
同じクラスの人たちとまどかさんに、ものすごく爽やかな笑顔を向ける直樹お兄様。
彼らが固まった後に、直樹お兄様に引っ張られてその場を離れました。
「それで、さっきの返事は?」
「よろしくお願いしましゅ」
カミカミの返事をしてしまって、もう半泣きです。
あまりの自分のヘタレ具合に泣きたくなります。
直樹お兄様は、笑顔で私の頭を撫でてくれました。
嬉しさのあまり、私は直樹お兄様に抱きついてしまいました。
その後、直樹お兄様とデートをするのですが、お約束のようにことごとく邪魔が入ります。
一番多いのが、ニヤニヤ顔の雲瀬のおば様でした。




