2.顔がよければ、何をしても許される。さすがは、攻略対象者様ですね。
昨日、顔だけしか取り柄がない幼馴染の荻堂一真にオモチャで殴られ、大袈裟に手当てされた状態で、幼稚園に入りました。
先ほどの状況を見ていた、女の子が
「ひどいわ。一真くん、泣いてたじゃない!」
「私は、殴られて怪我をしたんだけど」
「そんなこと、どうでもいいわ。一真くんが、かわいそうよ。あやまりなさいよ」
「イヤ。殴られて、怪我をして謝るなんて、どこぞのMじゃないですよ」
「まぞ?」
「悪いことした相手に悪いことを全くしてない私が、なぜ謝るのですか?」
「一真くんが、泣いていたから。とにかく、謝りなさいよ!」
女の子が私に文句を言っていると、泣き腫らした荻堂一真が再び私に殴りかかって来ました。今度は、幼稚園のスクールバッグで。私は余裕でそれを避け、荻堂一真は勢い余って室内の壁にぶつかり、さらに大泣きしました。泣き声を聞いた先生は慌てて駆け付け、泣いている荻堂一真に事情を聞きました。
「どうしたの? 大丈夫?」
と先生が訊くと、
「愛梨が、ぼくがカバンで殴ろうとしたのを避けたからこうなったんだ。愛梨が悪い!」
と泣きながら、先生に訴えました。私はナニコノ超自分理論。すげえな、顔だけがご自慢の攻略対象者様は。これで、女の子にもてるのは詐欺だなと思いました。
女の子は顔だけの馬鹿を庇い、男の子は私に同情的な目を向けてきました。うん、確かに私はかわいそうだな。こんなのが、幼馴染だなんて。ヤツは、婚約者ができるはず。キモイほど、この乙女ゲームをやり込んだ私なら、彼女にきっとこの馬鹿を押し付けることができるはず! 私は決意を新たにしました。
先生だけで収拾がつかないと思い、先生は私と荻堂一真の両親を幼稚園に呼び出しました。荻堂一真は、先生と私の両親と自分の両親の前で超絶自分理論を振りかざし、私を悪者にしようとしました。その超絶理論を聞くにつれて顔色が悪くなっていく、荻堂一真の両親。私の呆れて何とも言えない表情を見た彼の両親は、私に謝り彼をゲンコツで殴りました。
この後は、私が幼稚園を変えることで荻堂一真とあまりかかわらなくなりました。
荻堂一真の両親が毎日送り迎えを必ずして、私がヤツと遭わないように気を使ってくれたおかげです。
荻堂一真の方が幼稚園を変わらなかったのは、彼が幼稚園を変わるのを嫌がったためです。そのため、彼から一刻も早く離れたかった主人公が即断して幼稚園を変わることになりました。