15.ロリコン教師には、子どもがいました~補正自爆編~
不快に思われる表現がありますので、ご注意ください。
夏休み前日に、学校行事の恐怖の祭典第二段『ダンス・パーティー』があります。
私は、ダンスが苦手で嫌いなんです。
ダンスなんて、外国の人たちとか金持ちだけでやっていればいいんですよ!
一般庶民には、ダンスをするなんて好き好んでする文化がないのに...
あっ、ここはお金持ちのお嬢様とお坊ちゃんが通う学校だった。うっかり、忘れてました。なら、仕方ないかもしれないです。納得はしないけど。
この『ダンス・パーティー』は自由参加です。でも、私にヒロイン補正が発動するのではないかと戦々恐々としています。こういう時にこそ、ヒロイン補正”力”が、発動されるんですよね。イヤなことに。この世界で、私にとって『ヒロイン補正 力の発動=私への悪意ある嫌がらせ』なんです。望んでいない力なんて、害悪にしかならないですから。
『ダンス・パーティー』は、事前に『参加/不参加』のどちらかを紙に書いて提出します。そして、先生方がそれをチェックして参加する人の名前を書いたの紙を廊下に張り出します。
私は『不参加』と書いたはずなのですが、もちろん参加組に入っていました。信じられない。私は何度も、不参加と書いたのを確認しました。それで、提出前にもしっかり確認して、提出したのです。残念なことに、回避できませんでした。これが、ヒロイン補正の陰謀か...!
私がショックを受けていると、まどかさんが声をかけてきました。
「愛梨は、『不参加』って書いて出したのよね?どうなってた?」
「参加組に入ってました」
「いくら先生方が間違えても、取消せないわよ。強制参加ってやつね」
「愛梨さん、ダンスがお嫌いですの?」
「苦手意識が染み付いていて消えないんですよ。なので、『不参加』って書いていたんですけど」
「ところで、愛梨。ドレスを持ってるの?」
「庶民にそれを訊くのはなしです。もちろん、持ってません」
「私のを貸してあげようか?」
「それなら、私のをお貸ししますわ。愛梨さんは私と体形が近いですし、きっと大丈夫ですわ」
「いいんですか?」
「もちろんですわ」
ドレスは未那さんに借り、ドレスを選ぶのにまどかさんと未那さんのお人形状態になりました。さすがはお金持ち、ドレスをたくさん持っているんですね。
そして、ダンス当日。
ダンス会場は、とても広いところです。
学校外でするのに、こんな広いダンス・フロアを借りるとは本格的にするんですね。
壁際には、軽食が用意してあります。もう、これは食べて誤魔化してダンスを断れという神の啓示か何かですね。神様がいるなら、きっとこう言っているんです。『ヒロイン補正と戦え、諦めるにはまだ早い』と!
まどかさんと未那さんとダンスの時間が始まる前に話していると、荻堂一真がこちらに近づいてこようとしています。ここは、対荻堂一真専用兵器:鳳凰院未那さんの出番です。さあ、私の盾となるのです!!
私が期待いっぱいに未那さんを見ていると、まどかさんが荻堂一真に気づいたようで、未那さんに荻堂一真がいるところを指さして教えていました。
それを受けて未那さんは、荻堂一真に小走りで近づいていきます。荻堂一真は私の時と違い、にこやかに礼儀正しく未那さんに対応しています。荻堂一真が何か別の生き物に見えて、ものすごく気色悪いです。吐き気を催すような不快感とは、きっとこのことを言うんですね。まどかさんも顰め面をしています。
そんな時に、荻堂一真と並ぶ不快人物ロリコン教師が笑顔でこちらに来ようとしています。これにはどうしようもない不快感で、私とまどかさんの顔の引き攣るのが隠しようもありません。私はどうしようかと周りを見渡すと、直樹お兄様と生徒会長を見つけました。まどかさんにアイコンタクトをとると、私たちは全力の速足で直樹お兄様たちのところまで行きました。そうすると、ロリコン教師は悔しそうな顔をして私のところまで来るのを諦めたようです。直樹お兄様と生徒会長は、ロリコン教師にとってゲームと違い現実では天敵です。直樹お兄様はどういう理由なのか分かりませんが、生徒会長はロリコン教師に生徒会顧問としての役目を果たしてないので、何度も注意しているらしいです。それでも、治そうとはしないらしいです。正に、目の上のたんこぶですね。
ダンスの時間になると、直樹お兄様と踊り、次の曲にいけば直樹お兄様と同じクラスの人らしき人と踊ります。その繰り返しで、休憩時間に入りました。
休憩時間になって軽食を食べている時に、ダンス会場に誰か見覚えのあるような男性が入って来ました。うまく思い出せない。
すると一緒に軽食を食べているまどかさんが、
「あの人、ロリコン教師の父親よ」
「ロリコン教師?」
「担任の柳塚先生のことです」
「柳塚先生って、ロリコンでしたの?」
「あのロリコン教師のウワサ知らない?教師になったその年に、当時三年生の教え子を妊娠させたらしいわよ。それでうまく言いくるめて付き合ってたんだけど、妊娠の中絶期間を過ぎた頃に『子どもを堕ろせ』と言って、一方的に捨てたらしいわ」
「それで、その教え子さんはどうなったんですの?」
「子どもを産んで、ロリコン教師のお兄さんと結婚したみたいよ。そのお兄さんは、その女子生徒に対して責任をとるって説得しているうちに惚れて、結婚を申し込んで粘りに粘って、なんとかO.K.をもぎ取ったんだって。なんと、今ではラブラブ夫婦として有名よ」
「さすが、ロリコン教師、最っ低っですね」
ロリコン教師とロリコン教師の両親はなにやら言い争っているようです。ここが学校行事の場であることなんてお構いなしです。
「今日は、家に来て話し合うはずだろう?なぜ、こんなとこで遊んでいる」
「教師として学校行事に参加することはおかしいことですか!」
「自分がしでかしたことの責任を果たさないで、何が教師だ!」
「まだ、あの女のことを言ってるんですか?どうせ、他人の子を産んで俺の子だと偽っているだけでしょう!」
「馬鹿なこと言うな!四年前にDNA検査をして、お前の子だと証明されただろう。それに、お前に私の孫の父親だと名乗る資格はない。もう一度聞く、なぜおまえはここにいる。はっきり、言いなさい」
「ここに、結婚を前提に付き合っている女子生徒がいるからです」
と言って、私の方を見ました。いや、付き合ってないし。そんな事実はありません。私は思いっきり不快であることを顔に出していました。隠す気もありません。
私の表情を見て怪訝になりながらも、ロリコン教師の父親は私に訊いてきました。
「君は、雅人と付き合っているのか?」
「付き合ってもいませんし、そんな事実は1000%ありません」
「神無月、嘘をつかなくてもいいぞ。本当のことを言いなさい」
と、ロリコン教師は優しく諭すように言ってきますが、私は気持ち悪くて仕方ありません。
「ロリコン教師と噂のある先生と付き合うほど、馬鹿じゃありませんよ。気持ち悪い」
とロリコン教師を見て、嫌悪をあらわにして蔑んで言いました。
「雅人、この子はそう言っているが。やはり、お前の嘘なのか...」
「違います。付き合っています!」
そこに、生徒会長が話に入って来ました。
「大道寺の者として断言します。神無月さんと柳塚先生は、付き合っていません」
まどかさんが、続きました。
「私も森川の者として、断言します」
未那さんも、それに続きました。
「私も鳳凰院の者として、神無月さんの友人としても、断言いたしますわ」
「大道寺家、森川家、鳳凰院家の子たちが、お前の言っていることを否定しているのに、それでもまだお前は嘘をつき通す気か」
「私の言っていることを信用しないんですか!」
「お前は散々嘘をつき、家に迷惑をかけ、その尻拭いをさせてきた。そして今、また嘘をつき通そうして生徒に迷惑をかけている。教師を名乗るのもおこがましい!もうお前の尻拭いをするのはたくさんだ。今この場で教師を辞職し、華鹿の長女のところに行きなさい。これは、柳塚家としての決定事項だ」
「そんなこと、叔父さんが許しませんよ」
叔父さんとは、この学校の理事長のことです。ゲームでは、ロリコン教師のことを理事長が可愛がっているという設定です。現実では、かなりの我儘を聞いているらしいです。学校のウワサによると、当時中々就職の決まらなかったロリコン教師を見かねた理事長が、教員免許を持っていることを知り、この学校で雇うことにしたらしいです。ロリコン教師とロリコン教師の父親の今しているやり取りを見ていると、なぜ他の学校が雇おうとしなかったのかが分かるような気がします。きっと、ロリコン教師の本質を見抜いたからですね。
「それは心配するな。弟は、説得に応じた。お前の次の教員もすでに手配してある。安心して、今すぐに華鹿の長女のところに行きなさい」
「イヤだと言ったら、どうなりますか?」
「お前がどれだけ抵抗しようと、無駄なことだ。華鹿家には話を付けている。今すくコイツを華鹿家に連れていく。入って来なさい」
と扉に向かって、大声で言いました。そうすると、屈強そうな男の人たちが入ってきて、ロリコン教師を連れ出しました。
そして、ロリコン教師の父親は「お騒がせして申し訳ない」と言って、出ていきました。
その後もダンスをする時間が続くのですが、私に気を使ってくれた直樹お兄様が最後まで相手をしてくれました。
まどかさんと生徒会長によると、その後のロリコン教師は華鹿の長女(22)にペットとして飼われているらしいです。ペットとして飼うにしても、番犬なら犬の方が役立つと思うのですが、お金持ちの考えることは、庶民には分からないなと思いました。
華鹿の長女(22)について
同族の恋人あり。
美形の男女をペットにして飼う趣味を持つ。
普通の家の美形の男女だと問題があるので、お金持ちや資産家のお坊ちゃんとお嬢様の中から、その家にとって『不良債権』である美形の男女を譲り受けている。




