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14.体育祭は厚手の手袋で

体育祭とは、学校行事の中で最も恐怖の祭典。

体育祭までの数日間、毎日毎日天気予報を見て雨にならないかと期待するけど、絶対に雨にならない摩訶不思議な日。

そんなわけで、本日は快晴。素敵な体育祭日和です(ヤケクソ)。


まどかさんは前世で運動神経が切れていたので、今世では運動神経抜群な体なのでこの日を楽しみにしていたみたいです。前世では、足の速い友達が羨ましくて「足が速かったらリレーに出るのにな」と言っていたそうです。そして、この日、1000m走リレーに出るのです。

私は前世より、ちょーっとちょーっと運動神経がよくなったくらいです。


私はロリコン教師と荻堂一真の策略により、『借り物競走』にでることになりました。まさか、乙女ゲームの定番「好きな人」や「気になる人」なんて借り物があるはずなんてないですよね? 現実なんだから。


そして始まった体育祭。

お決まりのやたら長い話に、意識が飛びそうになります。

クラスで出る種目を決める時に、『玉入れ』はともかく『パン食い競争』があることにビックリしで二度見しました。金持ち学校に『パン食い競争』なんて、冗談でしょう?このゲームの制作者は何を考えていたんだろう...

私は、『借り物競走』の他には『玉入れ』に出ます。なんでも、『借り物競走』はこの体育祭のメインで名物らしく、最終競技になっているのです。選手にとって、困ったお題が多いらしく時間がかかるので、最後に持ってきているそうです。


まどかさんの出る種目1000m走リレーが、午前中の最終競技です。

まどかさんは、見事に一位になりました。


お昼は、未那さんが持ってきた鳳凰院家の力作弁当です。

「「「いただきます」」」

このお弁当にはなぜか、小学校での運動会の定番が詰め込んであります。

庶民の家だと好きなおかずがたくさんあって嬉しくなるのですが、不思議とお金持ちの家の料理人が作ると豪華に見えます。これが、一流の料理人たちが作る格なのか!

「そういえば、中学の時にあった『ダンス』がないわね。金持ち学校だから?」

「体育祭の次にある『ダンス・パーティー』のせいですか?」

「知りませんでしたの? 体育祭にダンスとダンス・パーティーがかぶるからと、お兄様の時に体育祭のダンスを無くしたらしいですわ。お兄様、ダンスがお嫌いですもの」

「そうなんだ...」

ゲームでは、体育祭とダンス・パーティーと続けてダンスがあったのですが、現実ではないようです。私はダンスが苦手なので、助かりました。

「それより、愛梨。『借り物競走』出るでしょ。対策をとったから、期待していて!」

「それはどのようなものですの?まどかさん」

「ナイショ!」

「とりあえず、期待しないでおきます...」

「そうですわね...」


体育祭の最終競技、私の出る『借り物競走』です。

私の順番は最後ですので、その前の第一順に未那さんが出ます。

未那さんは、リレーに出るということもあって足が速いです。女子の第一順のトップで走り終え、お題の紙を手に取ります。そして、猛スピードで荻堂一真のところに走っていきます。そして、トップでお題を終了しました。次は、男子の番です。

「未那、どんなお題だったの?」

「『婚約者』ですわ」

「未那さんにとっては、簡単なお題ですね」

「そうですわね。でも、一位になったのは嬉しいですわ」

この学校では、ゴールした選手のお題を発表しません。告白まがいのお題になっている時だけ、面白半分で発表します。お題を真面目に取り組んだ生徒を馬鹿にしてますね。

女子・男子の第一順にその犠牲者が出ました。

先ほど、まどかさんを借りに来た男子が告白するようです。

「森川まどかさん、結婚前提にお付き合いください」

重っ。何か重いよ、あの男子生徒。まどかさんと接点あったけ?

「イヤですっ」

そのことにものすごくいい笑顔で返すまどかさん。この場で、Noを突き付けるとは強者ですね。

とうとう、女子の『借り物競走』の最後がきました。

私はお題の紙があるとこに最後に着きました。

そこには、厚手の手袋とマジック・ハンドがありました。これは、なにか汚いものを持ってこなければいけないのでしょうか?私は意を決して、お題の紙を広げてみました。紙にはこう書かれていました。『ホスト教師』と。でも、私には『ホスト教師』と読むのを『ロリコン教師』と思わず読んでしまいました。私はそれを見て、厚手の手袋を手にはめてマジック・ハンドを持ちました。あの時、まどかさんが言っていた対策はこのことだったんですね。同じ順の女子から、可哀想なものを見る目で見られていますが、ここで気にしたら負けです。私はロリコン教師の元まで「競技だから仕方ない」と心の中で言い聞かせ唱えながら走りました。

「柳塚先生。お題なので、借りられてください。お願いします」

「いいぞ。ところで、神無月。その手にはめてるものと、持ってるものはどういう意味だ?」

「これで、先生を連れて来て下さいということです。柳塚先生が女子に人気があるので、その対策ですね」

「そうか。それなら仕方ないな」

素直にこの言い分を信じてくれるのは助かるけれど、厚手の手袋をはめてマジック・ハンドを持った怪しげな女子生徒を不審に思わないのはどうかと思います。

私は、マジック・ハンドでロリコン教師の腕を掴んで借り物競走の確認場所まで連れて行きました。そこには、直樹お兄様がいました。体育祭の実行委員をしているようです。

「借り物を連れてきました」

「お疲れ様、愛梨ちゃん。はい、確認しました。柳塚先生、もう戻ってもらってもいいですよ」

と先ほどのまどかさんと似た笑顔を浮かべながら、直樹お兄様はロリコン教師にいました。

「ところで雲瀬。お題は何だったんだ?」

「柳塚先生ですよ」

「へぇ、そういうお題もあるんだな」

「ええ。運動が得意じゃない子もいるので、簡単なお題を入れておいたんですよ」

「なるほど。神無月は運動が得意じゃないのか」

「森川さんが気遣って入れておいたみたいなんですよ」

「贔屓にならないか?」

「先生がどこにいるのか指示を書いてないですし、彼女が取ったのはその前の子たちが変なお題だと思って避けていたからです。たまたま最後にお題を取ったので、贔屓になりませんよ」

「それもそうだな。じゃあ、先生行くわ」

先生は、元の先生たちのいる場所に戻っていきました。

「愛梨ちゃん、もう手袋とマジック・ハンドを返してもいいよ。ロリコン教師なんて、触りたくなかったでしょ?」

えぇっ?直樹お兄様がはっきりきっぱりロリコン教師をロリコン教師って言ってる?私が驚いていると、

「知らなかった?柳塚先生は、二・三年の間じゃ『ロリコン教師』と言われていて避けられているんだ。人気があるのは、何も知らない一年生くらいじゃないかな」

確かに、遠足の時までうちのクラスじゃカッコイイと騒がれていましたね。その後はクラス内で、ロリコン疑惑が出て遠巻きにされていてなおかつそれに全く気付く様子もありません。いまやだ、同学年の他のクラスの女子はロリコン教師を見るたびに、キャーキャー言って騒いでいます。知らないことって、幸せですね。


こうして、無事に体育祭が終了しました。

次のイベントは、私の苦手なダンスなので試練の時!

今回、タイトルの別名は「まどかによる【ヒロイン補正の邪魔をした】」です。

ヒロイン補正にとって、まどかはモブなので気にすることは全くありません。だって、モブだから。

たとえ、ヒロイン補正が発動してもまどかは別の手を考えます。

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