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掌握
確かに押した手応えはあった。本来ならば既にこの男は床に突っ伏して気絶しているはずなのだけれど。
「悪いがお嬢さん。この家のシステム管理の権限は全て私が預からせていただいた」
「だろうね」
薄々そんな気はしていた。説明していなかったが、科学者である両親によって手を加えられた我が家のセキュリティシステムは、並の家庭とは比にならないほど手堅く作られている。そのため、両親と同じレベルで頭のいい人間でなければ、この家に侵入するのは不可能ということ。
つまり、家の中で−−と言っても玄関だが−−もっともセキュリティレベルの高いドアを破られた以上、事実上の陥落なのだ。