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侵入者-2
「お嬢さん、少しばかり匿っていただけないか?」
そんな訳で、普通じゃあり得ない『セキュリティの解除』をして、男は何食わぬ顔で入ってきた。ドアを開けた音でようやく私も気付いたほどだから、相当手際よく行われたのだろう。本来ならば警告音がなったあとに、治安維持用ロボットが来るはずなのだし。
男の姿をしっかりと見てみる。
身長は高い。黒のスーツ姿。深めに被ったシルクハットで目元は隠れている。
「ミスター。悪いけど映画の世界に帰ってくれない?」
もっとも、今は映画の世界でも見ない格好だと思うけど。
「そうか、では君を連れて逃げることにしよう」
そういうと、男は私の目の前まで歩いてきて、不思議そうな顔をして私を見て言った。
「お嬢さん。君はどうして全裸なのかね?」