君に伝えたかった
貴方と出会ってもう何年建つのかな。
でも、私は―――。
♥♡♥♡
貴方と出会ったのは、桜が舞い散ってた、中学の入学式。
私の眼鏡越しに写った貴方の姿は、とてもとても美しくて。
絵画の様で、思わず息を飲んでしまっていた。
自己紹介で、始めて名前を知った。
新藤樹。
素敵な名前だと思った。
でも、私は恋をしても…。
♥♡♥♡
「好きです、付き合って下さい」
貴方の。好きな、惚れている、貴方の。
待っていた言葉だった。
でもね、でもね、
このままじゃ、お互い辛いだけだから。
「ごめんなさい。今は、誰とも付き合えないの。」
♥♡♥♡
目が覚めたら、そこは白い世界。
何度も何度も見たことのある、白い世界。
「今夜が峠です。」
「…!そんな…!」
ドラマのような世界。
でも、私はそんな世界の中にいるんだ。
医者と、母親と…。
「な…んで…?き…み…が…?」
私の最後を見に来た、貴方の姿。
貴方は、泣きそうで、泣きそうで。
「あ…い…し…」
一粒の涙が頬を伝って流れて、
私の世界は消えた。