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ミネラル ~捨てられた王女は石の声が聞こえます~  作者: May
第一章『ラピスアトリウム』

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⒎【ヌーマイト】闇に包まれて

 

「ルナって、ホントに人の話ちゃんと聞かないのな? そういうの直した方がいいぜ」


「……」

 コウモリに叱られる人生が訪れるとは思ってなかった。



 それはさておき、コウモリ親分を連れて街へ出る準備をすることにした。


 岩塩層から少し戻り、横道を親分の案内で奥に進む。階段はないが下に降りているような感覚だ。


「どこまで行くの?」


 もう疲れてきたが徐々に強い力を内に溜め込んで隠しているような、物騒な気配がしてきた。

 なにか居るわね。


 私たちが探している物は、この森から何故か出られない親分を連れて行ってくれる物だ。


 ひときわ静かな黒い岩壁に辿り着いた。


「フフフフフ……」


 30億年の時を刻んだ漆黒の母岩【ヌーマイト】だ。


「どの辺がいい?」


 岩肌を翼で撫でるように親分がヌーマイト層を鑑定してる。しばらくぐるぐると飛行すると、


「この辺りはどうだ?」

 やっと見付かったようだ。親分が爪でコンコンと指定した辺りはよく見ると闇の中に玉虫色の輝きが綺麗だった。


 これもすごい力! この山は何なのかしら?   ヌーマイトなどの希少鉱石だけでなく、その辺に転がってるような鉱物でもとんでもない力を秘めているなんて。

 これが笑わずにいられようか。

 お腹の底から悦びが湧き上がってきてしまう。


「お前さ、その顔、気持ち悪いぞ?」


 あ……

 いかんいかん。


「ごほん! さっ! じゃあ作るわよ」

 親分が気に入った辺りを石の指定に従ってパリンと剥がすと、3cm程の歪な塊が取れた。わたし的にはこのままで充分綺麗だけど……


 ヌーマイトという石は内部に時空の隙間があるのだ。私がやるのは、その隙間まで親分が通れる道をつくってあげる。それだけだ。


「お前、とんでもないことを簡単そうにやるよなー」


 少し繊細な作業だけど5分とかからずに完成した。表面も少し磨いてヌーマイトの美しさをさり気なくアピールすることも忘れない。



「この石に耐えられる紐とか、森にあるかなぁ?」

「ん? だったらコレはどうだ?」


 ちょっと茶味がかった黒い紐をくれた。親分の翼の翼膜繊維のようだ。


 石の中に入るのは親分だし、相性もいい。ヌーマイトに、黒い紐を通して、ペンダントの出来上がりだ! 



「入れそう?」

「入ってみるな?」

「失敗してたら怖いから慎重にね」


 私が言い終わる前に、シュルりとヌーマイトの闇に吸い込まれて親分がペンダントの中に入ってしまった。

 首にぶら下げて、

「どう? 生きてる?」

 ペンダントをコンコンとノックしてみる。


「おう。叩くなよ。響くだろ。めちゃくちゃ静かで気持ちいい闇だぜ! 広さも充分で窮屈でもない」


 おおー、ちゃんと声も聞こえる。

 石に触れてる間は中の親分と会話が可能なのだ。魔法で言うところの「念話」のようなものだろうか。ただし、石と肌が触れてないと聞こえない。


「出られる?」


 ニュルっとペンダントから出ると元の大型犬サイズになった。


「やったー! やっぱルナってすっげーな」

「ん? 私が凄いわけじゃなくて、石が凄いだけじゃない? これから一緒に出かけられるね、フフッ」

「ルナはガキだからな、連れてってもらう代わりに仕方ないから守ってやるよ」




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