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魔法が使えない鉱物オタクの王女は、捨てられた山で王になる  作者: May
第一章『ラピスアトリウム』

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⒋【ラピスラズリ】光と闇

 

 ソラリス王国第3王女、ルミナリア・ソラリス。

「太陽の国の光と魔力に満ちた者」なんて、今思えばちょっと盛りすぎじゃない?という名前を持って生まれた。



 実際の私は、その名前とは真逆だ。

 魔力は平民以下、父や兄姉たちのようなきらきらした金の瞳もなければ、太陽みたいな赤い髪の色もない。

 瞳も髪も夜空の闇のような濃い瑠璃色で、この国ではあまり好まれない色だった。

 そう、この時点で詰んでいる。

 呪われた子、神から見放された子の爆誕だ。




 母は国王である父の第二夫人で、私が六歳のときに亡くなった。

 もともと王女として期待されていたわけでもないし、母がいなくなってからは、城での扱いはさらに分かりやすくなった。


 まあ、要するにただの「目障りな存在」になった、ということだ。

 だから驚きはしなかった。

 この国で、光も魔力も持たない王女の居場所なんて、最初から用意されていなかったのだから。




 小さな頃から、私には大地の音が聞こえた。石が、声を持っているように感じる。

 ――と言っても、はじめからはっきり言葉になるわけじゃなかった。

 それでも面白くて、居場所のない私は自然と石を集めるようになり、部屋に籠ってそれらと向き合う。


 今では石の話を聞いて、石がなりたい形に導いてあげることができる。

 余計なものを抜き、整える。

 そうすると、その石が本来持っている力が、発揮されるのだ。



 けれど、

「石の声が聞こえるなどと恥ずかしいことを二度と言うな!」

 お父様は凄い剣幕だった。


「根暗で気持ち悪い」

「心が壊れた子」

 そうやって笑われ、距離を置かれ、最後には決めつけられた。

 父は言った。

 この子は呪われている、と。

 そして、その判断は迷いなく下された。

 ――王女ルミナリア・ソラリスは、処刑されることになった。




 この世界は魔力が全てだ。

 鉱物などなんの価値もないし、魔力を多く含んだ魔鉱石くらいしか人気はない。

 一部の好事家が、装飾品として宝石を集めているが、宝石の種類は『ダイヤモンド』しか存在しない。

 名前を分ける必要がないだけだ。



 お陰でお母様から貰ったラピスラズリの指環は、黒く濁った汚い石と嘲笑されていた。


 たしかにラピスラズリは珍しくもない石だが、私は自分の瞳と髪の色と同じラピスラズリの指環は大好きだ。

 ただ、この子は眠っているのか私が話しかけても反応してくれない。


 それでも汚い石と言われたお陰で取り上げられなかったのならそれでいい。私にとっては唯一の「愛された証」なのだから。



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