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魔法が使えない鉱物オタクの王女は、捨てられた山で王になる  作者: May
第二章『ミネラル』

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39. ミネラルの秘技

 

 ローレンスさんから預かったフローライトの指環を直す傍ら、鉱物の加工についてデニスさんに一から教わり、今までは石自身に聞きながら適当にやっていた加工が少しマシになってきた。



 そして今は、『ミネラル』に古代から伝わる加工技術を教えて貰っている。

 ダイヤの粉末で作った硬質の針で石の内部のクラックを弄って文字や絵を刻む技術だ。

 こんなのを何千年も前からやっていたのは凄い。


「これは彫り方と表面のファセットによって見え方が変わるんだ。嬢ちゃんはこういう地味で細かい作業得意だろ?」


 ミネラルは、誕生した原石を採掘出来るせいもあって、加工技術も高い。

 一般庶民も子供でも普通に宝石を身につけている。


 それに比べて地上は富裕層の一部しか宝石は持たないし、よく見なくても加工技術は未熟でもったいない出来の物ばかりだった。

 宝石は全てダイヤモンドだと思ってるから、透明石以外はゴミ。

 濃い青が綺麗なラピスラズリも、もれなくゴミだ。

 ダイヤにしても抜き取りから失敗してる物も多くて、石の個性を生かした加工という発想には至っていない。

 もう少し考えて抜き取るだけでも美しさが全然違うのに、と貴族が得意げに着けている宝石を見る度にもったいない気持ちでいっぱいになっていた。



「彫る層によって表面から見えなくする事も可能だ。それこそがミネラルの秘技っていうやつだな。嬢ちゃんが持ってるラピスラズリの鍵もそうだ」


「ん?コレにも何か彫られてるんですか?」


 ラピスラズリの指環を取り出して角度を変えて光に透かしてみるが何も見えない。


「おうよ、これで見てみろ」


 ルーペのような物を渡されたが全体的に黒い。

 黒曜石だろうか。


「これじゃ、何も見えようがないんじゃ……?」

「そんなことないぞ? 覗いてみろ」

「……わぁっ! すごい」

 黒い石を通すと不思議と石の中に白い絵? 図? が見えた。


「見えたか? そいつは光で見るんじゃなくて影で見るんだ。だから秘技だと言ったんだ」


 石の中を見る時は光に透かして見ることしか思い浮かばなかったな。

 これじゃあ、気がつくわけないし、誰も見えないじゃない?


 あぁ!

「それで前にこのラピスラズリを見た時、『本物』だとかって言ったんですね」

「そうだ。ラピスラズリなんぞ、どこにでもある石だからな。このルーペは嬢ちゃんにやるよ」


 原理がよくわからなくて貰った黒曜石で何度も何度も石の中を覗いてみる。

 おもしろい。



「あれ、そういえばコレ、どこかで見たことあるような……」

「この中に彫られてるのは『ミネラル』の昔の国章だ。王制時代のヤツらしい。でも今の国章もコレを元にしてるからな、似てるのは当然だ。バレンタインの旦那の屋敷ででも見かけたんだろ?」


「なるほど。そうかもしれません」


 ちょっと魔法陣みたいだけど、魔法陣にしては変な図案。


 こんな細かいのを石の中に彫るなんて凄いなぁ。




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